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 「お盆過ぎから、iPhoneの(格安での)一括販売情報がぱたりと途絶えていますね」「こちらの地方でも一括販売している店が見つかりません」「月末に何か動きがあるとよいのですが……」

 多数のLINEユーザー同士が、友達登録していなくても情報交換できるLINEの「オープンチャット」。その中にあるいくつかのトークルームで最近、こうした嘆きの投稿が相次いでいる。

 これらのトークルームは基本的にメンバーによる承認制だ。iPhoneを「一括1円」など格安価格で手に入れたいメンバーが、熱心に家電量販店や携帯ショップを巡回し、最新の販売キャンペーン情報を共有している。それだけでなく、新規の回線契約を短期間で解約するという意味の「即解」を繰り返すとどんなデメリットがあるか、といったディープな情報交換も活発。iPhoneをいかに安く購入するかという点にかけては玄人ぞろいである。

ネット上にはiPhoneの安売り情報や転売ノウハウを共有する場が多数存在する。代表例がLINEの「オープンチャット」だ
ネット上にはiPhoneの安売り情報や転売ノウハウを共有する場が多数存在する。代表例がLINEの「オープンチャット」だ
(写真:日経クロステック)
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 だが現在は、そんな玄人集団をもってしても観測できないほど、「一括1円」などの格安販売が鳴りを潜めている状況のようだ。

 振り返れば筆者が2022年3月末ごろ家電量販店や携帯ショップを訪れた際は、多くの店舗がMNP(番号ポータビリティー)で他社から転入するなどの条件で、2020年4月発売の「iPhone SE(第2世代)」や2020年10月発売の「iPhone 12」を一括1円で販売していた。新年度以降は沈静化したものの、iPhoneを突発的に一括1円で販売し始める店舗も中にはあった。

 ところが2022年8月中旬に改めて量販店を巡ってみると、同年3月発売の「iPhone SE(第3世代)」を「一括6900円」で販売している程度だった。iPhone 12については2年後の端末返却を前提とする「お客様負担額1円」で販売していた。

 下火になってきたiPhoneの格安販売。背景の1つには政府がこうした販売方法を、転売目的で買い占める「転売ヤー」が増えて市場をゆがめている、などと問題視しており、業界に自粛ムードが広がってきたことがある。例えば総務省の有識者会議「競争ルールの検証に関するWG」は2022年7月22日に発表した「競争ルールの検証に関する報告書 2022」(案)で、「一括1円」と「転売ヤー」の問題点を繰り返し指摘している。

 公正取引委員会も同年8月9日、スマートフォンを一括1円などで販売する手法について緊急実態調査をすると発表した。NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルの4社とその販売代理店に書面調査をするほか、MVNO(仮想移動体通信事業者)や中古端末販売業者などに対してはヒアリング調査などを実施するという。