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大げさに盛るよりはさりげなく盛る

 インスタグラムに投稿する写真や動画は「盛る」若者が多い。盛るとは、きれいに見せるための加工のことだ。自撮りにカメラアプリを使って、肌をきれいに見せたり、目を大きくしたり、輪郭をほっそりさせたりする。若者に人気のカメラアプリは顔を認識して自動的に盛る機能を搭載している。

 こうした写真や動画の盛り方に変化が生まれている。背景には、若者がインスタグラムのストーリーズを多用するようになっていることがある。

 ストーリーズでは主に日常の何気ない風景を投稿する。日常を切り取った写真や動画をあからさまに「盛る」ことが気恥ずかしくなっているのだ。

 こうした傾向を捉えたカメラアプリが「SODA」と「Ulike」だ。AMFが発表した流行語調査でアプリ部門の1位と2位にランクインしている。どちらもさりげない美顔加工で人気が急上昇している。

 以前は別人になれるほど目や鼻を加工できるカメラアプリが支持されていた。今は加工したことを気付かせないような自然な盛り方のカメラアプリが支持されるようになっている。

 ただしこれはカメラアプリのトレンドであって、プリントシールは別だ。プリントシールの若者人気は今も高く、マイナビの調査で2019年上半期に「流行ったモノ」1位の「#アオハル」はプリントシール最大手のフリューのプリントシール機だ。

 #アオハルはカメラの高さや角度、向きを自由に動かせることで人気だが、加工はいかにもプリントシールといったやや大げさに盛った顔になる。インスタグラムはストーリーズの隆盛で日常の風景を共通するツールに変わってきている一方、プリントシールは非日常を楽しむツールであり続けている。

 若者たちは楽しいモノを見つけるとすぐに飛びつき、SNSで拡散する。だが大人にまで浸透すると次へと目を向ける。今後何が来るのか、注目していきたい。

鈴木 朋子(すずき ともこ)
ITライター・スマホ安全アドバイザー
ソフトウエア開発会社のSEを経てフリーランスに。SNSやアプリなどスマートフォンを主軸にしたサービスを行っており、書籍や雑誌、Webに多くの記事を執筆。スマホネイティブと呼ばれる10代のIT文化に詳しい。All About(オールアバウト)iPhone・SNSガイドも務める。著作は『親子で学ぶ スマホとネットを安心に使う本』(技術評論社)、『今すぐ使えるかんたん文庫 LINE & Facebook & Twitter 基本&活用ワザ』(技術評論社)など20冊以上。