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大げさな美顔加工もあざとくない

 プリントシール機では、いかにもという美顔加工も特徴だ。若者たちはこれをどう捉えているのだろうか。

 実はスマホの自撮りアプリでは、あからさまな「盛り(かわいく見せること)」となる大げさな加工から、自然な盛りとなるごくわずかな加工へのシフトがトレンドになっている。その代表格が韓国SNOWの自撮りアプリ「SODA」だ。SODAは元の写真と注意深く見比べないと分からない程度の加工しかしない。

 もともと、同社は「SNOW」という自撮りアプリで有名になった。SNOWがブームになったのは2016年で、顔認識を使って動物の鼻のスタンプを自撮りした写真や動画に貼り付けたりといったやや大げさな「盛り」が特徴だった。顔のコンプレックスとなっている部分をかわいらしく隠せるため人気となった。

 だが最近は「現実とかけ離れている加工は知り合いから反感を買う」という風潮が生まれている。そこでSNOWは加工したと気付かれない「ナチュラルな盛り」ができるスマホアプリとしてSODAを2018年にリリースし、人気を高めている。

 スマホでごくわずかな加工へのシフトがトレンドになった一方で、プリントシール機は今も大げさな加工が主流だ。前出の女子高生に聞いたところ「プリはプリだから、あざといとは感じない」という回答だった。

 プリントシール機で撮影した写真は、ひと目でそれだと分かる。デフォルト設定で盛る加工をするし、それが当たり前なのでスマホの自撮りと違って「わざわざ手間を掛けて加工した」とは認識しないのだという。彼女たちはむしろ「これ盛れてるね。どこで撮ったの?」といったコミュニケーションのきっかけになると、ポジティブに捉えている。

 無料で撮影できるスマホの自撮りアプリが登場しても、プリントシール機は思い出を大切にする若い女性たちに支持され続けている。今日も10代女子たちはなけなしのお小遣いをつぎ込み、撮影しているのだろう。

鈴木 朋子(すずき ともこ)
ITライター・スマホ安全アドバイザー
ソフトウエア開発会社のSEを経てフリーランスに。SNSやアプリなどスマートフォンを主軸にしたサービスを行っており、書籍や雑誌、Webに多くの記事を執筆。スマホネイティブと呼ばれる10代のIT文化に詳しい。All About(オールアバウト)iPhone・SNSガイドも務める。著作は『親子で学ぶ スマホとネットを安心に使う本』(技術評論社)、『今すぐ使えるかんたん文庫 LINE & Facebook & Twitter 基本&活用ワザ』(技術評論社)、「親が知らない子どものスマホ」(日経BP)など20冊以上。