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 「ぴえん」という言葉が10代の子どもたちを中心にSNS(交流サイト)で流行し、今や定着した感さえある。マイナビティーンズの「2019年ティーンが選ぶトレンドランキング」、マーケティング会社AMFの「JC・JK流行語大賞2019(言葉部門)」で共に1位に輝いた、女子中高生に大人気の流行語だ。2020年上半期には、ぴえんが進化した「ぴえんこえてぱおん」が流行語にランクイン、人気の衰えを見せない。

 ぴえんは、悲しいときやうれしいときに泣いていることを表す言葉だ。泣いているといっても、号泣ではなく、目を潤ませる程度である。使用法としては「指を蚊に刺された。ぴえん」のように、ちょっと情けなくて泣いてしまうようなときや、「優衣がスタバおごってくれた。ぴえん」のようにうれしいときに語尾に付ける。「ぴえんこえてぱおん」は、ぴえんよりも感極まっているときに使う。

 SNSなどでは投稿やメッセージに「#ぴえん」というハッシュタグにして付けることも多い。2020年9月24日時点で写真共有SNSの「Instagram」における#ぴえんの投稿は11万件に達する。

 ぴえんの意味を表す絵文字も人気だ。目を潤ませて、眉毛が下がっている表情の絵文字で、英語では「Pleading Face(訴えかける顔)」と呼ばれる。米Apple(アップル)のiOSでは2018年10月のバージョン12.1で追加された。

「ぴえん」に使われるiOSの絵文字
「ぴえん」に使われるiOSの絵文字
(出所:米Apple)
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広がりを見せる「ぴえん」の流行

 「ぴえん」の流行は、言葉だけにとどまらない。女子中高生は絵文字をモチーフにしたクッキーを焼き、Instagramに投稿している。執筆段階で「#ぴえんクッキー」の投稿は1000件以上だ。コロナ禍で流行した「#おうちカフェ」とも相性がよかったのだろう。

 ぴえんを題材にした歌もある。アーティストの針スピ子による『「ぴえん」のうた』は童謡のような楽曲で、サビで繰り返される「ぴえん」のメロディーが耳に残る。ショートムービー共有アプリ「TikTok(ティックトック)」では、「ぴえん」のうたを使った動画投稿が2020年9月24日時点で7万6000件を超える。何かが壊れたなど悲しい事象を写した動画のBGMに使われることが多いようだ。

 「ぴえん」のうたのショートバージョンは著作権フリーで公開されているため、ゲームにも使われた。ゲーム開発を手掛ける、ただすめんが制作した「PIEN-ぴえん-」は無料の3Dホラーゲームだ。ぴえんの絵文字に黄色いカラダが付いている不気味なキャラクターに追いかけられつつ、ミッションをクリアする。このキャラクターが出現すると、「ぴえん」のうたが流れるためか、2020年7月には音楽配信サービス「Spotify」の「バイラルトップ50(日本)」で4位にランクインした。