ゲーム対戦競技「eスポーツ」が盛り上がっている。2019年10月5日からは「全国都道府県対抗eスポーツ選手権」が国民体育大会の文化プログラム事業として開催される。eスポーツにビジネスチャンスを見いだした企業の動きも活発だ。そうした中、ユニークな動きをしているのがNTT東日本である。同社は2019年6月、eスポーツチーム「TERA HORNs(テラホーンズ)」を発足させた。
TERA HORNsはNTT東日本グループにもとから在籍する社員で構成した。プロチームではないものの、会社が強力に支援する「同好会」と位置付けられている。練習場やネットワーク環境を用意し、ユニホームや使用機材はeスポーツ関連事業の予算で購入する。
社員の同好会と言っても、プロも参加する大会で結果を残したメンバーもいる。普段は業務時間外にチーム練習をするが、NTT東のeスポーツ関連事業部門の依頼によって大会やイベント、社内の実証実験に参加する場合は「業務」だ。半分は趣味、半分は業務という活動である。
企業がeスポーツでプロ選手やプロチームのスポンサーになるのではなく、社員でチームを構成しバックアップする例は珍しい。何を狙ったどんなチームなのか。TERA HORNsの仕掛け人であり顧問を務める経営企画部営業戦略推進室の影澤潤一担当課長と、同じ部署に所属するキャプテンの金基憲氏への取材を基に紹介する。
eスポーツチームの発足で事業の競争力を高める
実はNTT東はTERA HORNsを作る前からeスポーツに事業として関わっている。eスポーツ関連事業のプロジェクトチームを発足させたのは2018年9月のこと。半年の検討期間を経て19年3月からeスポーツイベントのコンサルティングや運営の受託、eスポーツ施設におけるデジタルサイネージやパブリックビューイングなどのICT環境の構築支援を手掛けている。
影澤担当課長と金氏はプロジェクトチームのメンバーとして、eスポーツ関連事業の立ち上げに初期段階から携わった。現在は経営企画部営業戦略推進室のeスポーツ関連事業チームの中核として仕事をしている。