アンケートに答えたのは約3000人。様々なタイトルで多くのプレーヤーがいると分かった。NTT東のeスポーツ事業とのつながりの深さを勘案して、対戦格闘ゲーム「ストリートファイターV」、シューティングゲーム「スプラトゥーン2」、カードゲーム「Shadowverse(シャドウバース)」など7つのタイトルに取り組むと決めた。
19年4月に活動内容を社内発表してTERA HORNsへの参加者を募集し、それぞれのタイトルで実績を持つ社員数人ずつ計30人を選手に選抜した。加えて、チーム活動を盛り上げるサポーター90人の総勢120人で「TERA HORNs」を構成する。選手とサポーターの勤務地は全国に散らばっている。離れた拠点間は光回線で接続して選手の練習環境を整えている。
「同好会」と聞いて筆者は誰でも入れると想像していた。しかし半分は業務であるため無制限に選手にするわけにはいかなかったという。
選手は各ゲームタイトルの腕自慢たちだ。プロに勝った経験があるプレーヤー、大会で上位に進んでいてプロ認定に手が届きそうなプレーヤーなどが在籍している。実力主義のeスポーツの大会に参加する以上、存在を認めてもらうには強くなければならない。
「社会人eスポーツ」文化の醸成を目指す
TERA HORNs結成の狙いは事業への貢献だけではない。目指すのは社会人eスポーツ文化の醸成だ。影澤担当課長は「今のeスポーツにはキャリアパスがない」と危機感を持つ。野球であれば、少年野球、高校野球、大学野球、社会人野球といったプロ野球を目指すキャリアパスがある。プロ野球チームに入れなくても社会人で野球を続ける選択肢もある。
一方、現在のeスポーツは「プロ」と「それ以外のアマチュア」だけになっている。プロになれなかった場合、たとえeスポーツの大会で実績を残していたとしても、ゲームは勉強や就職のじゃまになっただけと扱われがちだ。
「TERA HORNsを通じて、社会人として生活しながらゲームも頑張る姿があると示したい。また、TERA HORNsからプロ選手を輩出したい。そうしたルートもあると認知されれば、eスポーツの社会的地位も高まるのではないか」。影澤担当課長は期待を込める。
企業同士が交流戦をしたり、社会人のアマチュア選手が活躍したりできる「社会人リーグ」も構想している。既に会社公認のeスポーツ部を持つ数社と話を進めているという。