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 語尾のカタカナもおじさん構文らしい表現方法の1つだ。少しくだけた雰囲気を出すために、カタカナを使用している。

 句読点と長文がおじさん構文の特徴とされる背景には、世代間の文体の違いがある。チャットの際、若者は短文をスピーディーにやり取りする「打ち言葉」を用いており、句読点は不要であると考えている。大人が句読点を入れた文章をつづると、「怖い」といった印象を抱く。カジュアルなやり取りをする場と捉えているチャットで書き言葉を使われると、「怒っている」「距離を置かれている」と考えるのだ。

用件を即伝えるのではなく会話で始めるのが若者のスタイル

 実は若者と大人のチャットには、文体のほかにも違いがある。その1つはコミュニケーションのスタイルだ。

 先日、若者に相談を持ち掛けられた人のツイートが話題を呼んだ。若者は質問を一文だけで送ってきて、なぜその質問をしているのか、自分はどんな条件で考えているのかといった細かな情報には一切触れていなかった。相談された大人は何を答えていいのか困惑してしまったそうだが、これもチャットで育った若者とメールで育った大人の文化の違いだ。

 若者はその投げかけからやり取りを始めて、詳しい内容はその過程でインタラクティブに伝えようと考えている。しかし大人はその一文の情報から推察して回答しなければと考える。

 こうしたコミュニケーションの世代間ギャップは面白くはあるが、ビジネスの現場ではすれ違いを起こし、いさかいになるかもしれない。そこで、お互いの文化の違いをしっかり理解しておく必要がある。どちらが正しいという話ではなく、違いを知るということだ。

 数年前、若者言葉の「り」が話題となった。「了解」を1文字で表す言葉である。お互いのコミュニケーションスタイルについて話し合う機会を持つと、自然に距離が縮まりそうだ。

鈴木 朋子(すずき ともこ)
ITライター・スマホ安全アドバイザー
 鈴木 朋子(すずき ともこ) ITライター・スマホ安全アドバイザー。ソフトウエア開発会社のSEを経てフリーランスに。SNSやアプリなどスマートフォンを主軸にしたサービスを行っており、書籍や雑誌、Webに多くの記事を執筆。スマホネイティブと呼ばれる10代のIT文化に詳しい。All About(オールアバウト)iPhone・SNSガイドも務める。著作は『親が知らない子どものスマホ』(日経BP)、『親子で学ぶ スマホとネットを安心に使う本』(技術評論社)など20冊以上。