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カップル専門の不動産仲介も登場

 上田氏の動画に触発され、TikTokでの不動産案内を始めた人がいる。大阪市中央区の不動産仲介会社クイーン・スタイルの若手社員である東氏(名字以外は非公表)だ。東氏はTikTokアカウント「ひがし@カップル専門不動産」を運用。「カップルの同居」をテーマとして、物件紹介の動画だけでなく、デートスポットの紹介動画も投稿している。

 コロナ禍でカップルは互いに会えずフラストレーションをためている。この話を聞いた東氏は「同居をイメージする動画を投稿すれば興味を持ってもらえるのではないか」と考えTikTokへの動画投稿を始めた。

「ひがし@カップル専門不動産」のプロフィル画面
「ひがし@カップル専門不動産」のプロフィル画面
(出所:ByteDance)
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 東氏の動画では、具体的な駅名や家賃は説明しない。こういう部屋に住みたいというイメージを固めていく過程で、カップルにワクワクしてほしいと考えるからだ。「イメージを伝えるのに動画は向いている」と東氏は話す。

生活を想起させる説明を心掛けている
生活を想起させる説明を心掛けている
(出所:ByteDance)
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 東氏がカップルにターゲットを絞ったのは、将来2人が結婚し住宅を購入するまで一貫してサポートしたいと考えたからだ。「不動産購入は人生における大きな買い物になる。将来の利益につなげたい」(東氏)。

 同氏がTikTokを始めた当初は、内見のアポイントを無断でキャンセルされるなどの苦労もあったが、大企業の社員や公務員、看護師など幅広い顧客層から問い合わせが来るようになった。問い合わせの95%はカップルからのものだ。これまでにTikTokで4件の契約を成立させたという。

 TikTokのビジネス活用に抵抗を感じるかもしれない。アンチ(敵対者)に批判される、といったマイナス面が気になっても仕方ないだろう。だが東氏は「動画を投稿して評価され、それを続けることが信頼につながる」と意気込む。

 ダンス動画で有名になったTikTokだが、エンターテインメント分野だけでなくビジネスへの活用も始まっている。

鈴木 朋子(すずき ともこ)
ITライター・スマホ安全アドバイザー
ITライター・スマホ安全アドバイザー。ソフトウエア開発会社のSEを経てフリーランスに。SNSやアプリなどスマートフォンを主軸にしたサービスを行っており、書籍や雑誌、Webに多くの記事を執筆。スマホネイティブと呼ばれる10代のIT文化に詳しい。All About(オールアバウト)iPhone・SNSガイドも務める。著作は『親が知らない子どものスマホ』(日経BP)、『親子で学ぶ スマホとネットを安心に使う本』(技術評論社)など20冊以上。