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 写真や動画の編集のようなクリエーティブな作業に向く多機能操作デバイスが多く登場している。今回取り上げる、米TourBox Techの「TourBox Elite」はその1つだ。ダイヤルやホイール、つまみ、十字キー、ボタンなどを備える小型デバイスであり、写真編集アプリケーションなどの機能や操作をそれらに1つずつ割り当てられる。パソコンとはBluetoothによる無線接続、またはUSB Type-Cケーブルを利用して接続する。

「TourBox Elite」はダイヤルやホイール、十字キーやボタンなどに機能を割り当てられる小型デバイス。直販価格は税込み3万9960円。有線接続時の振動機能などを省いた「TourBox NEO」(直販価格は税込み2万4980円)もある
「TourBox Elite」はダイヤルやホイール、十字キーやボタンなどに機能を割り当てられる小型デバイス。直販価格は税込み3万9960円。有線接続時の振動機能などを省いた「TourBox NEO」(直販価格は税込み2万4980円)もある
(写真:スタジオキャスパー)
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 TourBox Eliteはクリエーター向けのデバイスだが、工夫すれば他の用途に利用できるのではないかと考えた。TourBox Eliteの直販価格は税込み3万9960円と、簡単には手を出しづらい値段である。しかし2022年秋ごろにセールや割引クーポンによって、3万円強で購入できることが分かった。つい衝動買いしてしまったので、ここでレビューをお届けしたい。

コンパクトながら安定感が抜群

 TourBox Eliteの本体色には、黒色や白色、半透明の黒色がある。筆者は黒色のTourBox Eliteを購入した。サイズは幅116×奥行き101×高さ44mm。重量は376g(電池を除く)である。ダイヤルやホイールなどは左側、つまみは中央、十字キーやボタンは右側に配置されている。左手で操作する場合、中指で左側面のボタン、人さし指でダイヤルやホイール、人さし指と親指でダイヤル、親指で十字キーやボタンを操作する。

キーボードの横に置いても邪魔にならない。重さがあり、雑に触れても位置が動くことはなかった
キーボードの横に置いても邪魔にならない。重さがあり、雑に触れても位置が動くことはなかった
(写真:スタジオキャスパー)
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左手で操作しやすいようにボタンなどが配置されている
左手で操作しやすいようにボタンなどが配置されている
(写真:スタジオキャスパー)
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 黒色の表面は艶消しで装飾され、質感はレノボ・ジャパンのThinkPadシリーズの黒色に近く、高級感がある。デバイスを設置すると、かなり小さく感じた。一般的な大きさのマウスを横に2個並べたくらいのサイズである。コンパクトなきょう体ながら重量があり、ちょっとの衝撃ではズレない。卓上に設置したときの安定感は抜群だ。手を預けるように置いても位置がズレることなく操作できる。

 手や指を大きく動かさなくても操作できるのは使いやすいと感じた。十字キーやボタンは、位置によって異なる種類のスイッチを採用しているという。手元を目視せず指の感覚だけで位置を把握できるのはうれしい。また押したときの感覚や深さが位置によって異なっているので使いやすい。

 ダイヤルやホイール、つまみには、振動モーターが備わっており、回転時にはクリック感を疑似的に発生させる。クリック感や振動の強弱はソフトウエアで制御でき、オフにもできる。つまみやホイールを操作した際の変化量も調整可能だ。画像編集アプリケーションであれば、ブラシの大小や明るさの変更といった細かい調整が必要な操作に割り当てると便利だ。

 Bluetoothで接続する際はマルチペアリングに対応する。同時に2台のパソコンと接続できるため、複数のパソコンを使い分ける環境でも使いやすい。接続先のパソコンは本体のLED色で判別できる。接続先を切り替える際は底面のボタンを押す。Bluetooth接続時は電源として単3形乾電池2本が必要だ。背面に電池交換用の蓋が設けられており、簡単に交換できる。仕様に電池の持ちは記載されていないが、筆者の環境では電源をオンにしたまま1カ月程度は動いていた。

無線接続するには単3形電池2本が必要
無線接続するには単3形電池2本が必要
(出所:筆者撮影)
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 有線接続には付属のUSBケーブルを使って、パソコンとTourBox Elite側面のUSB Type-C端子を接続する。USBケーブルで接続すると、無線接続より有線接続が優先されるのでデスクトップパソコンとノートパソコンの使い分けもしやすい。有線接続時はパソコンから給電でき電池も不要になるため、電池切れの心配もない。