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 特にS/4HANAの動作基盤であるHANAはインメモリーDBであるため、動作に大量のメモリーが必要になる。SAP ERPをWindowsやLinuxサーバーで動かしている場合、S/4HANAにオンプレミスで移行するとハードウエア費用が一気に上がる可能性がある。

2020年からコンサルタント不足が顕著に

 SAPユーザーに限らず、パートナー企業も憂鬱にさせているのが、SAPの導入を支援するコンサルタントの不足だ。ホーチキがパートナーから告げられたように、どのパートナーも「SAPコンサルタントが不足する」と口をそろえる。

 「コンサルタント不足を懸念したSAP ERPの導入企業は、既にS/4HANAへの移行に動き出している」。ガートナージャパンの本好バイス プレジデントはこう指摘する。

 パートナー企業の意見を合わせると、大多数のSAP ERPのユーザー企業が動くのは「早くて2018年度」との見方が主流だ。2018年度にS/4HANAへの移行プロジェクトを発足し、ホーチキのような効果検証を実施。2020年代前半に実プロジェクトを実施、という計画を立てている企業が多いという。

 その結果「2020年度から1~2年くらいがSAPコンサルタント不足のピークになるのではないか」(ガートナーの本好バイスプレジデント)。コンサルタントが不足するとコンサルタントの単価が上がり、移行費用が上がるだけでなく、ホーチキが懸念するようにプロジェクト品質の低下も起こり得る。

 だからといって、パートナーがすぐにSAPコンサルタントを増やすのは困難だ。「若いエンジニアはAIの活用やデジタル化などの新しい案件に取られがち。2000年前後にSAPの導入を担当していたコンサルタントが今も導入を担当している状態だ」とあるパートナー企業の担当者は話す。SAPジャパンもSAPコンサルタント不足を認識し、育成を支援しているが「人手不足のまま2020年代に突入するのは間違いない」との見方が大半だ。

 こうした状況の中、SAPユーザー2000社は2025年までに基幹系の見直しに迫られている。ホーチキの佐藤部長は「SAPは標準サポートの終了を2025年から延期することはないだろう。当社もメーカーなので、一定期間後にサポートを終了するのは仕方ないと考えている」と話す。

 いつどのように基幹系を刷新するのか。基幹系とデジタル戦略の関係をどう考えるべきか──。2000社の日本企業が真剣に考える時期がきている。