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機器開発を進める上で必要不可欠な熱設計。本連載では、熱設計の基礎である伝熱や熱対策、そして基本的な熱設計手法を解説する。今回は、熱設計でよく見られる言葉を理解した後、三つの熱の伝わり方とその役割、熱対策の計算をシンプルにできる「熱のオームの法則」などを紹介する。

 熱における一番重要な法則は「熱エネルギーの保存則」である。一度出現した熱エネルギーは消滅せず、移動しかできない。つまり、放熱機構を作るということは、できるだけ早めに熱を移動させる手段を講ずるということである。水は、蒸発はするもののなくなることはなく、熱と似ている。そこで、水を例に、熱を解説する(図1)。水が蛇口から出てくることは発熱、たまった水の量(L)は熱量(J)、水位(m)は温度(Kまたは℃)に相当する。

図1 熱の移動を水の移動にたとえて考えてみる
図1 熱の移動を水の移動にたとえて考えてみる
熱をマクロに捉えると「エネルギーの塊」であり、水と同じと考えられる。熱量の単位は「J(ジュール)」であるが、熱は単位時間当たりの湧出や移動量で温度(水位)が決まるため、熱計算では主に、熱流量J/s=W( ワット)を使う。

 熱エネルギーの保存則から、熱(量)は保存されるが、温度は保存されない。保存ということは足し算が成り立つということであり、例えば1Jと1Jの熱が合わさると2Jになる。一方、入れ物の大きさが変わると水位が変わってしまうように、温度は状態によって変わる。当然、足し算は成り立たない。

 同保存則により、熱は移動しかできないため、逃がす必要がある。蛇口から水が出続ければ入れ物(図1中のタンクA)の水位が上がり、やがてあふれてしまう。熱対策とは、水位が上がらないようにすることである。そこで、別の入れ物(図1中のタンクB)にパイプでつないで水を逃がすようにする。パイプを太くするほどたくさんの水がBに逃げていき、それに伴ってAの水位が下がる。このパイプのコントロールが熱設計になる。