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機器開発を進める上で必要不可欠な熱設計。本連載では、熱設計の基礎である伝熱や熱対策、そして基本的な熱設計手法を解説する。今回は前回学んだ三つの熱の伝わり方や「熱のオームの法則」などを演習を交えて学ぶ。前回はこちら

【演習】発熱体の大きさと発熱量/温度

 ここまで紹介してきた知識を使い、物体の放熱能力を考えてみる。

 まず、大きさが50mm×50mm×50mm(体積125mL)で、中に発熱体が埋め込まれている立方体があるとする。これに12.5Wの発熱を与えたところ、60℃の温度上昇が見られた。

 次に、100mm×100mm×100mmと、一回り大きいブロックを作ることになった。これに100Wの発熱を与えると、次の三つの中でどれになるか。

(1)温度上昇は60℃程度になる
(2)温度上昇は60℃を大きく超える
(3)温度上昇は60℃よりも低くなる

 詳細に見ていこう。発熱体の放熱能力は、基本的に表面積で考える。体積125mLのブロックには、50mm×50mmの面が6面ある。熱は表面からしか逃げられないため、この発熱がどのぐらいの表面から逃げるかという表面の熱密度(熱流束、W/m2)は、発熱量12.5Wを表面積で割ると出せる。

 1辺の長さが2倍になると、体積は8倍になる。このとき発熱量も8倍にしたため、体積当たりの発熱の密度は同じである。しかし、熱が逃げるのは表面からである。大きいブロックは小さいブロック8個分でできているが、表面に出ていた面は幾つか重なってつぶれてしまう。

 結果として、表面積は2乗でしか増えない。体積が8倍になっても表面積は4倍にしかならないため、表面の熱密度は2倍になってしまう。

 故に、答えは(2)である。熱密度と温度上昇はほぼ比例するので、温度上昇は、大ざっぱに考えて2倍の120℃までは至らないまでも100℃は超えるだろうと考えられる。

 例えば、電池であれば、小さいセルを1個、単体で置いておくのが一番いいことになる。それをたくさん並べてもいいが、固めて1個のブロックにして積み上げてしまうと表面積が減るため、セル間を開けて風を流すなどで放熱しなくてはならなくなる。つまり、固めて大きくしてしまうと、熱対策的には駄目なのである。