機器開発を進める上で必要不可欠な熱設計。本連載では、熱設計の基礎である伝熱から基本的な熱設計手法までを説明する。熱伝導には、個体の中の温度の凹凸をならす効果があった。対して、今回取り上げる対流には、平均温度を下げるという効果がある。

 ヒーターから出た熱は、まず熱伝導で空気に伝わっていく。具体的には、ヒーター表面の空気は固体面に付着しているため、空気の分子間で振動が伝播していくイメージだ。壁面から離れた場所の分子は徐々に自由に動けるようになり、これにより、温まった空気の固まりが移動することになる。

 このような(1)熱伝導と(2)熱を持った物質の移動、が行われるときに、それを「対流」と呼ぶ(図1)。つまり、対流は複合現象である注1)

注1)Isaac Newtonは、冷却法則を導いたときに対流という概念を導入した。
図1 対流のメカニズム
図1 対流のメカニズム
発熱体から熱伝導で熱をもらい(図中(1))、次に熱を持った流体が移動する(図中(2))というのが、対流のメカニズムである。対流は 熱伝導(1)と物質移動(2)の複合的な熱移動現象となっている。
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 対流による熱輸送を考えるときには「熱伝達率」という言葉が使われる。熱伝達率は、対流の熱の伝わりやすさを表す。「熱伝導率」と言葉は似ているが、全く違う概念である。熱伝導率は文献などを探せば値が分かるが、熱伝達率は状況によって値が変わってしまう状態値と呼ばれるもので、簡単ではない。見つかるのは熱伝達率を導くための式であり、その式を使って自分で計算する。