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【演習1】平板の置き方と放熱能力

 ここまで説明してきた知識を使い、対流による放熱能力を定量的に見てみよう。 

 縦200mm×横100mm(厚さは無視)で40℃に保たれている平板を考える(図6)。平板の温度は均一で熱放射はないものとすると、以下の置き方で放熱能力はどの程度異なるか。

(a)垂直に置いた場合(100mmを高さ方向に配置)
(b)垂直に置いた場合(200mmを高さ方向に配置)
(c)水平に置いた場合

 求めたいのは熱流量であり、これが放熱量に相当する。そのためには熱伝達率を求めなくてはならない。そこで使うのが、式(3)である。

  (a)と(b)は垂直に置かれた板なので、Cには鉛直置きの平板の値を使う。温度上昇は40K(℃)に固定されているので、⊿Tは40である注5)。これで値はすべてそろうため、熱伝達率が分かる。

注5)温度の計算は反復が必要になるなど、少し厄介である。温度が分からないと熱伝達率が分からないため、最初に30℃などといったん決めて、hを計算してみる。その結果を式に当てはめて計算すると、大抵は30℃とは違う温度となるので、出てきた値で再計算する。それを反復し、値を絞り込んでいくのである。

(a)100mmを高さにした垂直平板
  熱伝達率 h =2.51×0.56×(40/0.1)0.25=6.29W/m2K
  表面積 S=0.1×0.2×2=0.04 m2
  放熱量 W=0.04×6.29×40=10.1W

(b)200mmを高さにした垂直平板
  熱伝達率 h =2.51×0.56×(40/0.2)0.25=5.29W/m2K
  表面積 S=0.1×0.2×2=0.04 m2
  放熱量 W=0.04×5.29×40=8.5W

  (b)は(a)に比べて15%ぐらい、放熱量が悪い計算結果となった。

 ただし、この計算は板の温度が完全に均一、つまり、熱伝導率が無限大の板の場合であり、例えばプリント基板だともっと差が出る。熱伝導率が悪いと、板の上側と下側で温度差が出る。縦置きにすると上側と下側の温度差がさらに広がるので、最大温度はかなり差が大きくなる。

 (c)の水平に置いた場合は、板の上側の熱伝達率と下側の熱伝達率が違うため、少しややこしい。上側の熱伝達率は0.52、下側は0.26であり、係数としてはちょうど半分になる。従って、放熱量も半分にしかならない。そこで、上側と下側の放熱量を別々に計算して足す。

(c)水平に置いた平板
  代表長さ L=(0.1×0.2×2)/(0.1+0.2)=0.133m
  上面熱伝達率 h =2.51×0.52×(40/0.133)0.25=5.43 W/m2K
  上面表面積 S=0.1×0.2=0.02 m2
  上面放熱量 W=0.02×5.43×40=4.34W
  下面熱伝達率 h =2.51×0.26×(40/0.133)0.25=2.72 W/m2K
  下面表面積 S=0.1×0.2=0.02m2
  下面放熱量 W=0.02×2.72×40=2.17W
  全放熱量 W=4.34+2.17=6.51W

  これが熱計算でよく使う、面ごとに発熱量を計算してからそれらを合計する方法である。

図6 【演習1】平板の置き方と放熱能力
図6 【演習1】平板の置き方と放熱能力
縦200mm×横100mm(厚さは無視)の平板の温度上昇を40K(℃)に保っているとしたときの図中3パターンの放熱能力を考える。平板の温度は均一で、熱放射はないものとする。
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