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 部品表面まで出てきた熱は、少し複雑な経路に分かれる。第1に、部品表面から熱が伝導で空気に伝わり、その空気が移動していって内部の空気に拡散していく(=対流)経路。第2に、部品表面から熱放射で逃げていく経路。熱放射は電磁波なので空気は関係なく、直接筐体に熱が届く。そして第3に、配線に使われる導体はかなり熱伝導率が大きいことから、配線伝いにプリント基板に熱が逃げていくという経路である。

 筐体に通風口が開いていると、空気に逃げた熱がそのまま外に出て行くことにより、大量に熱が運ばれる。一方、直接筐体に届く熱放射による熱は、筐体表面から対流と熱放射で逃げていく。しかし、通風口がふさがれている密閉の筐体は、熱が空気に逃げても行き止まりになるため、空気に伝わった熱がもう一度筐体に伝わることになる。この空気経由のルートは熱が逃げにくいので、代わりに熱伝導の経路が使われる。プリント基板に逃がした熱を伝導させたり、部品を筐体に付けて熱を逃がしたりする。

 最近は部品の小型化が進んでおり、それに伴い、表面積が減っている。表面積が減ると、表面積×熱伝達率である対流と熱放射による放熱も減る。さらに、多端子化も進んでおり、部品から基板への熱伝導抵抗が下がっている他、基板も多層化されて銅箔を多く残すため基板の中でも熱が伝わりやすくなっている。

 このように、小型化・多端子化によって、熱伝導が増え、対流と熱放射が減る傾向にある。つまり、部品の熱は、プリント基板経由で逃げるようになってきているのである。部品の大きさやピン数、基板の層数にもよるが、多層基板に実装された10mm×10mm以下の部品ではだいたい6~7割は基板から逃げるようだ。底面を基板にはんだ付けしたような小型のMOSFETでは、表面から逃げる熱は1割以下であり、残りの9割はプリント基板から逃げていく。

 従って、重要なのはプリント基板の設計となる。プリント基板に熱を逃がしやすく作っておくと温度が下がるし、逆にプリント基板への道を断ってしまうと部品の温度は急激に上がってしまう注1)

注1) 蛇足になるが、小さい部品になればなるほどシミュレーションの結果が実測と合いにくくなる。表面から熱が逃げる部品については、表面のメッシュを切って流体の計算をすればきちんと解ける。しかし、プリント基板から熱が逃げる場合は、基板の熱伝導経路をしっかり表現しないと正しいモデルにならず、計算の精度が悪くなる。例えば、プリント基板を等価熱伝導率で表現してしまうと、答えはずれる。小さい部品になればなるほど、プリント基板の熱伝導が主体になるためシミュレーションは少し面倒になるが、配線も含めた放熱経由をモデルに表現する必要がある。