『情識』(じょうしき)は「情報化に関する常識」という意味の造語である。独りで発信する媒体を作ろうと計画していた時、知り合いの経営者に媒体名として考えて頂いた。本欄の更新を2002年から2006年まで続け、それ以降中断していたが2015年1月から再開した。ITプロフェッショナル向けの本欄に加え、経営者向けに『経営の情識』という連載を日経ビジネスオンラインで続けている。なお、情識は実在する言葉で本来の意味は「強情、頑固」だという。

谷島の情識
目次
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1番難しい「何かをやめるプロジェクト」に挑む3人組アイドルの決意
1番難しいプロジェクトはどういうものかと時々考える。プロジェクトは期限があって、1回限りの活動だ。当事者にとって次はなく、どうにかして成功させようと知恵を絞り工夫をこらす。難しいかどうかは外野が論じることで、当事者には関係ない。
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現場のプロ技術者は原稿を書いて経験や創意工夫を伝えよう
電子計算機、コンピューター、IT、デジタルテクノロジー。呼び名はどれでもよいが、これらは一切合切輸入されたものである。40年近く原稿を書く仕事を続けてきて「日本生まれの何かを全世界へ輸出できないか」という期待を述べた時もあった。しかし「輸出」にこだわること自体、後進国の証しかもしれない。
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多重下請けを生むブラックボックスをITで白くする
1985年に日経コンピュータ誌の記者になった当時から、ソフトウエア開発業界におけるいわゆる多重下請けは問題視されていた。ある会社が仕事を同業者に発注し、その会社がさらに別の下請けに発注する。これを繰り返していくと最初の発注者から最後の受注者まで数段階にわたる階層ができる。
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「顧客の立場で考える」ための4カ条を表彰事例から考えた
「顧客の立場で考える」「顧客の視点で物事を見る」「顧客を起点として行動する」――。文で書くと短いが、いずれも簡単ではない。関係者の合意を取り付けて始めるまでが大変だし、続けるのはさらに難しい。
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これではデジタル植民地、デジタル庁は国民データを米国企業に委ねるのか
「霞が関が米国のパブリッククラウドを使うのは駄目だが民間企業ならよいのでは、とおっしゃいますが、当の霞が関が国民のデータを米国クラウドに置こうとしています」
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ビジネスと情報システムの不整合を今度こそ解決する
1970年代から1980年代にかけての大手日本企業は、情報システムの領域においても日本は世界で先頭を走っていた。なぜ今日の状態になったのか。日本の情報システム利用の歴史には残念ながら知識や経験の蓄積がほとんどなく、新たな動きがあるたびに飛びつき一からやり直すことを繰り返してきたからだ。
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現場のエンジニアの奮闘はテレビのバラエティー番組になるか
少し前の話になるが、2022年1月15日土曜日の夜7時50分にテレビの前に座って待機していた。7時56分から放映された『世界一受けたい授業』(日本テレビ)を視聴するためだ。その場で見るだけではなく録画して、時々家で再生して楽しんでいる。
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「日本のDXにカツを入れよう」、追悼・元IBM・東大の松島克守氏
2022年1月23日の午後1時半、都内の会館で開かれたお別れ会に自宅からPCを使って参加した。コンサート、講演、記者会見、取材、会議、勉強会、雑談会、飲み会にオンラインで参加した経験はあったがお別れ会は初めてだった。
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新たな技術を学ぶ前に「マイことば」や「アイことば」を持とう
「今年こそ新しい技術を身に付けよう」。新年を迎え、こう考えている人は多い。だが現実を見るとそれどころではないことが多い。目先のことに左右されず、自分で考えた通りに学んでいくために「マイことば」や「アイ(合)ことば」を持つことをお勧めしたい。
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IBMの看板を外したら富士通や日立の顧客から相談が来た
売り上げが伸びないどころか減り気味で、利益もなかなか厳しい事業があった。別会社として独立させたので、今後は売り上げを年率7%以上伸ばしていく――。文章にしてみるとあり得ない話として読めてしまう。しかし実際にこれに挑戦する企業がある。
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メインフレーム老人の知恵をWeb青少年に伝えるのは至難の業
先日ある勉強会で「視野の縮小、視座の低下」と題して10分ほど話をした。何らかの業務を処理する情報システムを設計し、開発し、動かす際に当然やるべき基本的な取り組みがすっぽり抜けており、しかもそれに誰も気づかないという事例を6点挙げた。いずれも当事者の視野が狭い、あるいは視座が低いことが問題の原因だと…
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上を向いてプロジェクトをしよう、自分や同僚が壊れないように
たとえ知り合いではなくても、誰かが壊れたという話を聞くのは辛い。まして面識がある人だったら暗然とする。数年ほど前に社外の勉強会で何度か顔を会わせたことがある若手の近況を最近聞かされた。
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電話帳からムックに変身したPMBOKガイド第7版を見てかなり反省した
「何事においても振り返りをしないと駄目です。だからノートを作っていろいろな方に差し上げています」。ビジネスコンサルティング会社、インターブリッジグループ(ibg)の好川一代表に聞いた言葉である。ibgが顧客や取引先に配っているノートはいわゆる「KPT」が書けるようになっている。
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「データの利用で炎上」を防ぐ49の質問
「倫理のスキル(ethics skills)」という分かりにくい言葉を聞いたのは2014年のことだった。出所はITリサーチ大手の米Gartner(ガートナー)である。同社は今後3年以内に求められるスキルとして倫理を挙げていた。さらに『2014年、CEOの決意』という報告書でデジタルビジネスに向けて…
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DXもARもIoTも言葉は嫌いだが動く猫はかわいい
「自分がいかにこの言葉を嫌っているかよく分かりました」。2021年9月末、SNS(交流サイト)にこう投稿した。この言葉とは「DX(デジタルトランスフォーメーション)」を指す。数日後に書いたことを後悔した。表紙にDigital Transformationとだけ書かれた雑誌風の冊子を編集責任者から受…
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アーティストの「デジタルツイン」が機械学習で学び描いた絵はアートか
現実にある何かをコンピューターでそっくり再現する「デジタルツイン」。何だか楽しそうな取り組みである。飛行機や工場のデジタルツインを作り、設計の検証をしたり保守に役立てたり、人の移動をシミュレーションしたりする。だがなるほどと思えないデジタルツインもある。再現する対象を人間にした場合だ。
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「DX詐欺にだまされた」と言わないために
「ITベンダーが高額なIT製品の導入をDX(デジタルトランスフォーメーション)と呼ぶのは詐欺に等しい、という認識が広まってほしい。2020年12月に出た経済産業省の『DXレポート2(中間取りまとめ)』は玉虫色ですし……」
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「理系技術者は50歳から100歳までが本番」、ITではどうか
気になる主張の本を読んだ。「50歳まで会社などの組織で働く前半は準備・修行期間、50歳から100歳までの後半こそが本番」というのだ。何の本番かと言うと人生の本番である。「人生全体の価値を高め、具体的に働く愉しみを見いだし、十分なキャリアと愉しみ、さらにキャッシュフローを得る」、この生活が50歳から…
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東京五輪のトレードオフマトリックスを考えてみたが作れなかった
「トレードオフとは何かを優先し、何かを止めること。総じて日本人はトレードオフの決断が苦手で捨てることができない」。プロジェクトマネジメントのコンサルタントである峯本展夫氏がこう発言する場に先日居合わせ、かなり前にトレードオフについて書いたことを思い出した。
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プロジェクトベースで動くデジタル庁にPMOがない不思議
SNS(交流サイト)に流れる発言を眺めているとデジタル庁に関するものがしばしば出てくる。記録をとったわけではないが批判的な意見が多い。デジタル庁の組織図がWebサイトに公開された後、厳しめの投稿が目立った。
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