全2710文字
PR

 少し前の話になるが、2022年1月15日土曜日の夜7時50分にテレビの前に座って待機していた。7時56分から放映された『世界一受けたい授業』(日本テレビ)を視聴するためだ。その場で見るだけではなく録画して、時々家で再生して楽しんでいる。

 『世界一受けたい授業』を見た理由は、通称「100の技術」と呼ばれる当社の書籍群が番組の中で紹介されたからだ。将来有望なテクノロジーを100件選んで解説した本である。2016年から毎年発行しており、これまでに6冊出したので「書籍群」と書いた。2021年に出版した最新刊の正式な書名は『日経テクノロジー展望2022 世界を変える100の技術』である。

 ずっと編集を担当してきたので手掛けた6冊がテレビ画面いっぱいに映し出された瞬間、「おお」と思い、「自分の葬式の際、この画像を借りて流してはどうか」と縁起でもないことが頭に浮かんだ。

テクノロジーは面白い

 人気番組である『世界一受けたい授業』がなぜ『100の技術』を紹介してくれたのか。「ヒロミ先生が紹介する 世界を変える日本のすごい技術!」というテーマで、ランキング形式で多くの技術を紹介。最新の『100の技術』に掲載したテクノロジーもランキングに入った。ちなみに第1位は「テーブルのがたつきを無くす技術」。これは『100の技術』に載っていない。

 こうした企画がされた理由は、テクノロジーへの関心が視聴者の間で高まっていて、面白い企画になるとテレビ局が判断したからだろう。実際、「世界を変える日本のすごい技術!」に登場した10件はどれも興味深かった。技術好きで知られるタレントのヒロミ氏の説明も歯切れよく分かりやすい。『100の技術』の件はさておいても楽しめた。

 「そんなことができるのか」と面白がらせてくれる。これはテクノロジーの本質である。『100の技術』を編集していてもそう感じる。

 『100の技術』の編集作業はなかなか大変だ。まず日経BPの専門媒体の編集長に「来年以降に期待できるテクノロジー」を挙げてもらう。回答を整理して100件のリストを作り、記者に割り当てて手分けして原稿を用意する。校正に入ると100人近い記者に電子メールで校正紙(PDF)を送ってやり取りする。大詰めになると丸1日ひたすら電子メールを書いては送る状態になる。

 かなり面倒なのだが、毎年様々なテクノロジーが選ばれて「こんなものがあるのか」と感心する。リストを見ていて飽きない。ネタが尽きることもなさそうだ。テクノロジーに関心がある編集長から記者まで日経BP社には300人前後いる。日ごろから特集記事の企画を立てたり取材を重ねていたりしている人たちの頭の中をダウンロードするようなもので、色々なネタが次々に出てくる。

 100件のリストは本にするだけではなく、それを使って期待の度合いについてビジネスパーソンに調査したり、100件の中のテクノロジーに対する専門家の反応を探ったり、といった使い方もしている。