ひょんなことから「若手」について考えた。きっかけは2020年5月18日から19日にかけて後輩とチャットツールを介して次のやり取りをしたことだった。
「最近の日本で若手を何歳と定義するか、結構難しいと感じます。少子高齢化が世界に類を見ないニューノーマルを急速につくり出しているような」
「若手は30代~40代という定義でよいのでは」
「まだ若手ということで安心しました」
スーパー戦隊を目指し、セルフイノベーション
筆者は59歳だがあまり深く考えず「若手は30代~40代」と応答した。続く5月20日、「40代半ばは折り返し地点まで来ていない」という発言を聞いた。折り返し地点の前にいるならやはり若手である。
発言者はNTTデータの柳圭一郎副社長(当時)、発言場所は『PR3.0 Conference [ ALLIANCE ]』であった。カンファレンスとあるが今回はオンラインで開催され、柳副社長は『アライアンスが生み出す、企業と「個」の新しい関係性』と題されたキーノートセッションに登場した。
ちなみにイベント名にある「PR3.0」とはパブリックリレーションズあるいはパーソナルリレーションズをバージョン3.0に上げようという意味である。世代にかかわる柳副社長の発言をかいつまんで紹介する。発言の前のまとめは筆者が付けた。
先は長い:「65歳まで仕事をする時代、と言っているが、いや、もう70歳までだよね、ということに早晩なる。そうなったら今の40代半ばの人はまだ(社会人生活の)折り返し地点まで来ていない。ここから先、どう働いてどういう人生を送るか、人によって異なる」
自己革新:「ITの仕事においては技術の移り変わりが早いので、ある年齢になると技術の一線から離れ、管理だけをする人がいた。しかし今後はそうとは限らない。そこでセルフイノベーションタイムと称し、自分の力を高める活動を仕事時間の中でしてもらうことを働き方改革のKPI(成果指標)に入れた」
環境整備:「40歳までは全員に同じ働き方と処遇を用意していたが、50代~60代になっていくとき、全員に同じ働き方を用意できないだろう。ただし、ここ(NTTデータ)にいたら成長できる、自己実現できる、という環境は用意していく」
多様性:「従来は上が右に行けと言ったらみんな右に行った。これからはそうではなく、『サイボーグ009』や『スーパー戦隊シリーズ』、『ONE PIECE』のようなチームになっていく。いろいろなカラーがあってよく、全員を赤にしたりしない。育成の仕方も変わる」