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 SNS(交流サイト)に流れる発言を眺めていると、デジタル庁に関するものがしばしば出てくる。記録を取ったわけではないが、批判的な意見が多い。デジタル庁の組織図がWebサイトに公開された後、厳しめの投稿が目立った。

関連資料: デジタル庁について

 デジタル庁のWebサイトには「準備中」と明記されているし、組織図も日によって変化している。設立途中の段階で批判をするのはどうかと思う。一方でこの組織図を見て何か言いたくなってしまう気持ちも分かる。

 実は自分自身、後者の心境になり、何か投稿したくなった。とはいえ批判は避けたいと考えた。なぜならSNS上で多くの方がすでにあれこれ書いており同じような意見を上乗せしても仕方がない。

 むしろ公開されている組織図から良い点を見つけ、それを指摘したほうがいい。組織図をじっくり眺めた上で、2021年6月10日に次のように投稿した。

 「IT関連の仕事をしている方々の間でデジタル庁の組織図が話題になっています。すぐ目に入る八人衆(CXO)について色々発言したくなるわけですがおそらくこれは冗談、とまでは言いませんがお飾りでしょう」

 「八人衆(CXO)」とはCA、CAIO、CDO、CIO、CISO、CPO、CTO、CTrOである。それぞれが何を指すのかについてはデジタル庁のWebサイトを見ていただきたい。ちなみにCDOのDはデータやデジタルではなくデザイン、CIOのIはインフォメーションではなくイノベーションである。

 批判はしないと決めたのに、今読み直すとどうも批判的である。ただ次の投稿で「良い点」を指摘したつもりである。

 「組織図の一番下に小さく書いてある『プロジェクトベースで業務を行う』という文言に期待をかけたいと考えます。そうなるとプロジェクトを支える仕組みが必要でそれが『CoEチーム(また英略語)』だと思いたいのですが書かれている内容を見ると違うのかもしれません」

PMOは9月までにできるだろう

 デジタル庁の組織図の一番下には「プロダクト(サービス)やプロジェクト毎に、必要な専門性に応じて、各人材プールから人材を配置。チームを組成して、プロジェクトベースで業務を行う」と書いてある。その通りであり、ぜひそうしてほしい。

 複数のプロジェクトが動くことになるから、それらを「支える仕組み」としてプロジェクトマネジメントオフィス(PMO)が不可欠になる。PMOは各プロジェクトの状況を把握し、それぞれのプロジェクトマネジャーに状況を伝え、必要に応じて支援する。

 あるプロジェクトと別のプロジェクトにまたがる調整はPMOがこなす。組織が抱える人材や資金は有限だから、組織にとって最も成果が出るように人材や資金を割り振る案を考え、組織のトップに諮ることもある。

 プロジェクトベースと宣言しているにもかかわらずデジタル庁の現状の組織図(2021年6月4日時点)にはPMOが見えない。「CoE(センター・オブ・エクセレンス)チーム」の内容を見ると技術の「基準・標準」を用意する部署のようである。

 ただしCoEチームの中に「品質管理(クオリティー・アシュアランス)サポート」という部署がある。プロジェクトで生み出される成果物の品質を担保するわけで、PMOの一翼とみなせる。またCoEチームとは別の「戦略チーム」の中に「システム統括・監理リソース配分」という部署もある。

 21年9月の正式発足までに「プロジェクトベースで業務を行う」体制が整うのだろう。