テレワークが常態になったとき、システムエンジニア(SE)をどうやって育成するのか。2020年7月23日からの4連休にそんなことを考えた。
きっかけは新聞の切り抜きを整理していて日立製作所の東原敏昭社長の談話記事が出てきたことだ。5月10日付の日本経済新聞に載ったもので、東原社長は「日立でも国内の約7割の従業員が今は在宅勤務」「新型コロナ収束後も(中略)テレワークが前提になる」「(テレワークに応じた業務プロセスにするために)業務範囲や責任をあらかじめ厳密に規定した上で最適なプロセスを考える」と述べていた。
テレワークといわゆるジョブ型の働き方を組み合わせる動きは富士通もしており、それについて先日記事を書いた。
日立も富士通も事業を支えているのはSEである。「業務範囲や責任をあらかじめ厳密に規定した上」で優秀なSEを外から集めていくのだろうが、既に社内にいるSEも「テレワークが前提」の中で育てていかなければならない。
システムのエンジニアに不可欠な3つの力
本稿でいうSEは文字通りシステムのエンジニアを指し、システムは広義のものとする。日立が手掛ける電力や鉄道もシステムである。広義のシステムを企画、設計、開発できるエンジニアが備えるべき力を「あらかじめ厳密に規定」するのは難しいが、強引に次の3点が必要だということにする。
SEはしっかり聞く。システムには顧客がおり、その声をSEは傾聴する。顧客が発注者の場合もあれば利用者の場合もあるが、双方が喜ぶものをSEはつくらなければならず、聞く力が欠かせない。
SEは手が動く。設計書や設計図面を自分で書ける(描ける)。レビューできる。それらに基づきハードウエアやソフトウエアを組み立てる(コーディングする)こともする。現在のシステムは規模が大きく、多くのSEが分担してつくっていくが、分担する業務に応じてSEは手を動かせる。
SEは企てる。顧客から話を聞くとはいえ、言われた通りにつくるだけの人をSEとは呼べない。複数の利害関係者の話を聞いた上で「こういうシステムにしたら多くの顧客が喜ぶだろう」と企画する。提案を聞いた顧客や関係者が「それこそ私がほしかったものだ」と言ってくれたら素晴らしい。