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 「『最もオンラインに向かない活動』と題が付けられているが、読むとオンラインに切り替えた話であり変ではないか」

 ここ数カ月ほど書籍を編集する仕事をしていたが、校正の際に同僚から指摘された。「最もオンラインに向かない活動」として書籍で取り上げたのは、婚活、パーティー、ライブコンサート、飲食、買い物など。いずれも人と人が会い、集まる活動であり、オンラインには向かない。オンラインとはインターネットを介して活動することを指す。

 ところがその書籍には、オンラインに向かない上記の活動をオンラインに切り替え、非接触や非対面、遠隔からの参加などを取り入れた話が書いてあった。そこに「最もオンラインに向かない活動」という題を付けるのは確かに変だ。少し考え、「本来オンラインに向かない活動」に直した。

 この書籍は毎年10月に発行している『100の技術』である。題名通り、将来有望な技術を100件紹介する。5冊目になる今回は趣向を変え、新型コロナウイルス感染症に立ち向かう技術を100件まとめた。テレワークやVR(仮想現実)を使った検査、建機の遠隔操作や自動運転などITを使う例が多いが、感染症治療薬やワクチンも出てくる。

 「本来オンラインに向かない活動」をオンラインに切り替えた例として、アバターによる買い物、ロボットがハイボールを作る飲み屋、遠隔地から参加できるパーティーなどが出てくる。技術的には可能だが「やはりリアルがよいのでは」と思ったところもあり「最もオンラインに向かない活動」という題名を当初付けてしまった。

知り合いから来た切実な質問

 「最もテレワークに向かない元3人組はどうすればいいのでしょう」

 話を少し前に戻す。書籍の編集作業が佳境に入った2020年8月末、知り合いが電子メールで質問してきた。本欄で2回続けてテレワークについて書き、彼は読んで思うところがあったらしい。ここでいうテレワークはオンラインとほぼ同じ意味で、企業活動にとどまらず音楽ライブ配信などエンターテインメントも含む。

 彼の質問をきっかけに彼や知り合いとあれこれ議論したため、頭の中に「最もテレワーク(オンライン)に向かない」という言葉が残り、書籍を編集しているときにも出てきてしまった。

 彼はIT企業でインフラを設計、構築する仕事をしている。議論に参加した知り合いの中にはベテランのSEもいる。ところが彼らはオンラインを好まず、リアルな体験をするにはどうしたらよいかと考えるので興味深かった。