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 「かなり前から気になっていたのですが労働生産性という言葉は何とかなりませんか。日本企業は労働生産性が低いとか、そちらが書くでしょう。労働という二文字を付けると現場の働きが悪いように見えてしまう。我々が真面目に働いていないみたいです」

 「真面目に働いているのですか」

 「喧嘩を売っているのですか。働いていますよ。私は日本以外のいくつかの国で勤務したことがあります。ひいき目ではなく日本人は真面目だし良く働きます。しかも最近では働き方改革で時短だの定時退社だの言われてそれも何とかしようとしているわけですし」

 「それなら生産性が上がるでしょう」

 「そう簡単にはいかないのです。肝心の売り上げが急には伸びませんから。真面目に働いていないから売り上げが増えないのでは、と言ったら本当に怒りますよ」

 「分母は少し減ったが分子があまり変わらず生産性は上がらないということですね。労働生産性は売上高や利益を投入した人数や時間で割ったものですから」

 「分子次第のところがあるわけです。ちょっと前に、ある企業が週休3日にしたら生産性が4割上がったという記事が出ていました。あれだって売り上げが年々伸びているからこそでしょう。労働者の働き方とどの程度関係があるのか。休みを増やすのは結構なことですが」

 「記者発表のときには週休3日制を含むチャレンジの効果測定項目の1つとして『8月の労働生産性(社員1人当たり売上高)は前年同月比で39.9%増えた』と紹介していましたがその後、効果から外しています。同社のサイトを見ると『(労働生産性の)数値は事実の情報ではありますが、本チャレンジのみで達成できた結果ではなく、様々な要因から実現された成果となります。誤解の無いように、直接の成果を記載した上記の文章や図表から、こちらでの紹介に移動させていただいております』と出ています」

 「それはそうでしょう。でも記事は既に一人歩きしているので今後も『週休3日で生産性4割向上!』と引用されるでしょうね」

 「生産性4割向上は週休3日制を含むチャンレンジのみではなく様々な要因から実現された成果でチャレンジの直接の成果ではない。すると間接的には成果があったということでしょうか?」

 「間接的なんて言い出したらな何でも成果になりますよ。売上高が増えているのは様々な要因からではなくてずばり、同社のクラウド戦略が当たったからでしょう。それは認めます。でもそれを労働の生産性が伸びたと書かれるとなあ。データセンターがどんどん増え、そこが稼いでいるわけで」

 「労働生産性はlabor productivityの直訳だと思いますがもっと良い訳はありますか」

 「従業員1人当たり付加価値とかどうですか。というか言葉についてはそちらが専門家でしょう。もっとよい訳語をぜひ考えて下さい」

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