『情識』(じょうしき)は「情報化に関する常識」という意味の造語である。独りで発信する媒体を作ろうと計画していた時、知り合いの経営者に媒体名として考えて頂いた。本欄の更新を2002年から2006年まで続け、それ以降中断していたが2015年1月から再開した。ITプロフェッショナル向けの本欄に加え、経営者向けに『経営の情識』という連載を日経ビジネスオンラインで続けている。なお、情識は実在する言葉で本来の意味は「強情、頑固」だという。

谷島の情識
目次
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H3ロケット失敗に思う「日本流生真面目な経費削減」の限界
大型ロケット「H3」初号機の打ち上げ失敗を聞いて考えたことを列挙する。ロケットや航空機に関する取材経験はないので、プロジェクトマネジメントに取り組む人が物事を考える際に検討すべき点を挙げてみる。
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詩を書くのが苦手な技術者は良い仕事ができない
2022年4月1日以降、インターネットを検索してセットリストを確認するのが日課のようになっている。誰のどのライブの曲順を調べているのかと言えば、広島出身の3人組アイドル、まなみのりさである。
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100倍できるエンジニアに報酬を何倍払いますか?
「100倍できるエンジニア」が存在するかどうかはともかく、「できるエンジニアにできないエンジニアより高い報酬を払う」ことができるかを考えた。できるエンジニアをどうやって見つけるのか。見つけられたとして他のエンジニアより高く報酬を払えるのか。
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プロが取るべき姿勢を「五輪書」と「超絶なる心得」から学ぶ
「今年こそこうする」と1月に考え、方針や抱負を決める人は多い。筆者もそうしようと考えてみた。考えながらソーシャルメディアをぼんやり眺めていたところ、「『超絶なる心得』by ケリーサイモン」という文字が目に入った。
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2023年の先行きを考えたら神頼みしたくなった
年が明けてから2023年が先行きどうなるかを考えたとき、2022年12月20日に神田明神にお参りしたことを思い出した。ちなみに1月1日には近所の神社数カ所へ詣でた。数カ所も行ったのは住んでいる周囲で七福神巡りができるようになっているからだ。
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22年前に書いた「増える『動かないコンピュータ』」は現在に通じるか
2週間に1回、本欄を執筆するために「これを書いたらどうか」というネタをまとめたメモを作っている。もう5~6年前からA2の方眼紙に書き込んできたので、メモをざっと見渡すと40~50件のネタが並んでいる。
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イーロン・マスク氏の「ハードコア」な会社で働きたいと思うべきか?
「ハードコア」という単語を日本経済新聞の経済記事で見たのは初めてではないか。「ツイッターが成功するためには『極めてハードコア(強硬)であることが必要だ』と強調し、『これは長時間、猛烈に働くことを意味する』と述べた」
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プロジェクト成功のカギは「人」や「時間」ではない
「イノベーションを起こす上での課題」の1位は「日々の業務に追われて余剰時間がない」こと。日本経済新聞がまとめた2022年の「スマートワーク経営調査」による結果である。上場企業と有力非上場企業の計813社が有効回答を寄せ、うち43.2%が冒頭の選択肢を選んだ。
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1兆円のリスキリング支援策、ITの関係者全員で利用しよう
日本経済新聞は2022年10月12日の夕刊および翌13日の朝刊で、岸田文雄首相が打ち出した1兆円の「人への投資」を一面で大きく報じていた。臨時国会における所信表明演説で岸田首相が5年間で1兆円をリスキリングの支援に投じると表明したことをうかつにも知らず、記事を読んで驚いた。
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10年後に世界を変えるテクノロジーを見逃さないためには
将来どのようなテクノロジーが広く使われ、世の中に影響を与えるのか。それを見通せる技術の目利きが重要と言われて久しいが、未来を予測するのは極めて難しい。
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設計やプログラミングはエンジニアの「ポータブルスキル」になるのか
「ポータブルスキル」という言葉を少し前に知った。持ち運べるスキルという意味合いだ。スキルは人に帰属するから、何であっても持ち運べるのではないか。当初首をひねった。
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絵が苦手なSEは良い仕事ができない
絵は苦手である。うまく描けない。美術館で絵を眺めても感銘をあまり受けない。最近の例では誘われて『ゲルハルト・リヒター展』に行ったが何が何だかさっぱり分からなかった。
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IT業界で生き残れるか、自分の適性を調べたら「マネジャー失格」だった
「彼を知り己(おのれ)を知れば百戦殆(あやう)からず」、孫子の兵法に出てくる有名な言葉である。「敵を知り己を知れば百戦危うからず」と書かれることも多い。この言葉に久々に接したのは、システム企画研修の上野則男社長と話をしていたときだ。
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IT企業の社長が示した「退職勧告7項目宣言」を読む
あるソフトハウスの社長が社員に向けて出した「退職勧告7項目宣言」を読む機会があった。筆者は原稿の執筆や編集をしておりSE(システムエンジニア)やプログラマーではないが退職勧告を出される危険はある。
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「日本経済の30年に及ぶ停滞の原因は経営者」、経済同友会代表幹事が言い切った訳
「日本経済の30年に及ぶ停滞の原因は政府ではなく国民でもない、経営者である」。経済同友会代表幹事である櫻田謙悟SOMPOホールディングス グループCEO取締役代表執行役会長は2022年7月5日に開かれたシンポジウムにおける講演の当初、こう言い切った。
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政治家も経営者も技術者もあなたも「考えない」のはなぜか
「昨日、車の中でNHKの日曜討論を聞きました。政治家や政治家を目指す人たちの対話とは到底思えませんでした。知性のかけらもなく枝葉末節の現象ばかりを取り上げエキセントリックにののしり合うので議論になっていません」。こう聞いて「似た指摘を最近読んだり聞いたりした」と感じた。
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「高品質なAIが日本の勝ち筋」、IBMのデータサイエンティストが断ずる訳
日本IBMの山田敦執行役員AIセンター長は「日本のAIは品質が高い、といわれるようにしていく。それが日本の勝ち筋であり、だからこそ頑張りがいがある」と語った。
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「今さら国産クラウドの育成」、自民党と経産省は何を考えているのか
自由民主党と経済産業省が「国産クラウド」の育成に動いている。狙いは「国民データの安全な管理」と「クラウド技術の確保」という経済安全保障上の2点だが賛否両論がある。
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1番難しい「何かをやめるプロジェクト」に挑む3人組アイドルの決意
1番難しいプロジェクトはどういうものかと時々考える。プロジェクトは期限があって、1回限りの活動だ。当事者にとって次はなく、どうにかして成功させようと知恵を絞り工夫をこらす。難しいかどうかは外野が論じることで、当事者には関係ない。
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現場のプロ技術者は原稿を書いて経験や創意工夫を伝えよう
電子計算機、コンピューター、IT、デジタルテクノロジー。呼び名はどれでもよいが、これらは一切合切輸入されたものである。40年近く原稿を書く仕事を続けてきて「日本生まれの何かを全世界へ輸出できないか」という期待を述べた時もあった。しかし「輸出」にこだわること自体、後進国の証しかもしれない。