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 本連載第3回では地道なカイゼン活動の重要性を述べた。最終回となる今回は、それらカイゼン活動から始まったデータの取得と、それを活用してIoTシステムを構築した事例について紹介する。

加工不良の条件をDB化

 当社グループ企業の1つ、金型メーカーであるIBUKI(本社山形県・河北町)では、射出成形用金型の製造を手掛けており、日々さまざまな金属加工を行っている。同社の加工現場では度々加工不良が発生し、その削減が課題となっていた。

図1 IBUKIの工場
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図1 IBUKIの工場
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図1 IBUKIの工場

 そこでカイゼン活動として、加工不良のデータベース(DB)を作成することとした。目的は加工不良条件の蓄積と共有である。

 加工不良にはさまざまな種類があるが、どれも予測が難しい。同じ加工はほとんどない上に、熟練の職人でも大昔に経験した加工を1つひとつ細かく覚えているわけではない。別の担当者が経験した加工を全て共有するのも難しい。そのため、設計図面や加工条件から不良の予測精度は低く、職人の経験と勘に頼って対処するしかなかった。

 これを解決するため、まずは各個人が経験した加工の良し悪しをDB化して資産として残すこととした。まずは対象をマシニングセンターとした。マシニングは金型製造の要であり、工程の多くを占めるからだ。

 DBに記録する項目は、現場の声を収集して決めた。各職人の頭の中には、過去の5S活動やカイゼン活動を通じて、加工不良につながりそうなパラメーターが整理されている。それらを収集・分析し、必要な項目を洗い出すのである。

 DB項目を洗い出したら、次はDB蓄積手順の簡易化である。この入力負荷の簡素化は非常に重要だ。現場の職人は忙しく、なかなかDBへの入力に時間を割けない。折角良いDBを作っても、入力が煩わしいと、結局活用されずに終わってしまう。

 そこでIBUKIでは、Microsoft Excelのマクロ機能を用いて、簡易的にデータを入力し管理できる仕組みを整備した。こうすることで入力負荷を低減し、情報の蓄積を進めやすくした。マクロ機能に限らず、バーコードやタブレットなどを駆使し、いかに簡単にデータを入力できる仕組みを作れるかが重要である。