積水ハウスだけでなく、他の大手住宅会社もヘアクラック対策に本腰を入れている。その多くが、弾性系塗料を基礎の表面に塗布する方法を採用する〔図1〕。
会社名 | ひび割れ対策の名称 | ひび割れ対策の内容・目的 | 導入時期 |
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住友林業 |
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指定供給先を定めて気温を考慮したコンクリートの調合を行う かぶり厚などが適正になるよう鉄筋をあらかじめ工場で加工 コンクリートは初期養生が重要なので湿潤養生を行う コンクリート硬化後は、屋外側に樹脂混練モルタルを塗り、弾性塗料で仕上げる |
2007年6月 |
積水化学工業 | 基礎弾性塗装の採用 (立ち上がり外周部) |
セメントとアクリル樹脂を混合した基礎弾性塗装仕様 主目的は以下の通り
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2002年12月 |
基礎断熱仕様の採用 (立ち上がり内周部) |
防水性に優れたポリスチレンフォームで基礎内周全面を覆う仕様。 コンクリートからの急激な水分蒸発を防止できるため、ヘアクラックの抑制効果などを期待できる |
2002年7月 | |
積水ハウス | 高耐久化シート工法 | 基礎の屋内側にポリオレフィンを基材とする養生シートを貼り付け、屋外側にはアクリル樹脂系の弾性塗料を塗布する。専用器具を用いて貼り付けた養生シートは、そのまま存置する。乾燥収縮率は、何の対策も講じないコンクリートに比べて大幅に低下した | 2015年8月 |
タマホーム | 基礎化粧保護材の施工 |
建物の最終仕上げ段階で、基礎の化粧を兼ねた保護材の施工を行う
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2016年10月 (13年10月に対策を導入、16年10月に現施工内容に改良) |
弾性系塗料は、微細なひび割れに追従し、水分の浸入などから表面を保護する機能を持つ。現在、コンクリート基礎向けの弾性系塗料としては、秩父コンクリート工業(東京都台東区)の「チチブファンデーションコート」や竹屋化学研究所(大阪府東大阪市)の「ハウスシューズ」などが販売されている〔図2〕。
製品名 | メーカー名 | 組成 | 塗り工程 | 設計材料価格 (税抜き) |
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チチブファンデーションコート | 秩父コンクリート工業 | 弾性ポリマーセメントモルタル+弾性アクリルエマルション塗料 | 不陸調整をしたうえで、下塗りと上塗りの2回 | 施工面積20m2当たり、下塗りが1万7000円、上塗りが1万円 |
ハウスシューズ | 竹屋化学研究所 | 弾性ポリマーセメントモルタル+水系弾性アクリルシリコン塗料 | 不陸調整をしたうえで、下塗りと上塗りの2回 | 施工面積約18m2当たり、上塗りと下塗りを合わせて、2万4000円~3万6000円 |