米Apple(アップル)が先ごろ発表した2021年10~12月期決算は、売上高が前年同期比11%増の1239億4500万ドル(約14兆2400億円)、純利益は同20%増の346億3000万ドル(約3兆9800億円)で、いずれも四半期ベースで過去最高を更新した。
主力のスマートフォン「iPhone」の売上高が同9%増の716億2800万ドル(約8兆2300億円)と好調だった。米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、アップルは決算発表の説明会で「21年10~12月期は前四半期に比べて供給制約を受けた」と認めた。だが、同紙は「ハードウエア業界でアップルほど財務力と経営力を兼ね備えた企業は他になく、716億ドル分のiPhoneを販売するのに十分な部品を調達できた」と指摘。「同業の多くが部品と物流資源を確保するために支出を増やす中、アップルはうまく最終利益を伸ばすことができた。サプライチェーン(供給網)への同社の影響力が奏功した」と報じている。
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米調査会社のIDCによると、21年の世界スマホ出荷台数は前年比5.7%増の13億5480万台で、5年ぶりに前年実績を上回った。アップルが出荷台数の伸び率を2桁伸ばし、韓国サムスン電子との差を縮めている。スマホの出荷台数は市場の成熟と、パソコンやタブレット端末、スマートホーム機器などの「隣接市場」との競争により、16年の14億7340万台をピークに前年割れが続いていた。だが、ここに来て世界的に強い繰り延べ需要がみられ、市場は健全な回復に向かっているという。
21年のメーカー別出荷台数は、サムスンが前年比6.0%増の2億7200万台で首位を維持した。2位はアップルの2億3570万台。アップルの出荷台数は前年比15.9%増だった。同社の市場シェアは前年の15.9%から17.4%に上昇し、サムスンの20.1%に迫った。サムスンはわずか0.1ポイント増にとどまっている。3位以降はいずれも中国メーカーで、小米(シャオミ)、OPPO(オッポ)、vivo(ビボ)の順。それぞれ前年から29.3%増、20.1%増、14.8%増と大きく伸びた。
しかし、足元では半導体などの部品不足や物流停滞がスマホ市場に影響を及ぼしている。21年10~12月期の世界出荷台数は3億6240万台で、前年同期から3.2%減少した。IDCはサプライチェーンの問題が22年に解消するとみるが、年前半は現状が続くとしている。
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一方、こうした状況下でもアップルは好調だ。IDCによると、21年10~12月期のiPhoneの世界出荷台数は8490万台で、4四半期ぶりにサムスンを上回り首位に立った。アップルのシェアは23.4%。これにサムスン(シェア19.0%)とシャオミ(同12.4%)が続いた。
iPhoneの同四半期における出荷台数は前年同期比で2.9%減少した。ただし、これは20年に発売した「iPhone 12」の記録的な販売実績の反動とみられる。IDCは「(アップルは)前年同期比でわずかに減少したものの、再びサムスンを上回りトップに立った。サプライチェーンにおけるアップルの強みがこれまで以上に発揮された」と分析。「21年10~12月期におけるアップルの出荷台数の多くは同年9月に発売したiPhone 13であり、iPhone全体の平均販売価格が大幅に引き上げられた」と指摘する。