全2808文字
PR

工場閉鎖の延長と中国直営店の全店閉鎖

 新型コロナウイルスの感染拡大による影響が顕著に現れたのはこの頃だ。アップルは2月1日、中国本土の直営店「Apple Store」全42店の一時閉鎖を決定。オフィスと顧客サポート窓口も閉鎖した。同国では春節(旧正月)に合わせた連休が延長され、多くの都市で2月9日まで工場の操業再開が禁止された。

 iPhoneの組み立てを請け負う台湾の鴻海精密工業(ホンハイ)は敷地面積140万平方メートル(東京ドーム約30個分)の施設を河南省の省都、鄭州市に持つが、ここでも同様の通達が出された。英フィナンシャル・タイムズによると、ホンハイは他の十数の省にも大規模な工場を持つが、いずれも同様の規制が設けられた。河南省のほか、浙江省や広東省などの感染者の多い省は、いずれもテクノロジー企業にとって重要な製造拠点。「今回の事態は明らかに大問題だ」と投信調査会社モーニングスターのアナリストであるドン・ユー氏は述べたという。

 その後、アップルは2月24日までに上海や南京、広州などの一部のApple Store、計29店を再開した。ただし、多くの店は今も短縮営業中だ。アップルの中国サイトによると、北京では通常の営業時間が午前10時から午後10時であるところ、現在は午前11時~午後6時で営業中。サイトでは「公衆衛生と予防の考慮事項に基づき、一部の小売店を一時的に閉鎖しています。再開した店舗に入る前にはマスクを着用し、体温検査を受けてください」と告知している。

関連リンク:CNBC

アップル、売上高予想未達の見通し

 アップルにとって中国は製造と販売の拠点であり、新型コロナウイルスの感染拡大は同社の業績にも影響が及ぶと指摘されている。こうした中、アップルは先の決算発表の電話会見で630億~670億ドル(6兆8000億~7兆2000億円)としていた2020年1~3月期の売上高予想を達成できない見通しだと明らかにした。

 その理由は2つあるという。1つは、iPhoneの全世界向け供給が今後一時的に制限されること。最初に感染が広がった湖北省には同社製品の中国工場はなく、すべての工場が操業を再開しているという。しかし生産能力の回復が当初の予想よりも遅く、売上高に一時的な影響を及ぼすという。もう1つは、中国市場におけるアップル製品に対する需要の低下だ。中国国内の店舗が一時閉鎖や短縮営業を余儀なくされ、来店客が著しく減少したと同社は説明した。

1月の中国スマホ販売36.5%減

 中国情報通信研究院によると、同年1月の中国スマートフォン販売台数は前年同月比36.5%減の2040万台と、大きく落ち込んだ。感染拡大の影響で消費者需要が圧迫されたという。ロイターやCNBCの報道によると、影響を大きく受けたのは米グーグルのOS(基本ソフト)「Android」搭載のスマートフォン。その出荷台数は前年同月比39%減の1810万台だった。これに対し、iPhoneの出荷台数は200万台と、同ほぼ横ばいだったという。

 スイス金融大手UBSのアナリスト、ティモシー・アーキュリー氏はこの統計を基に、1月のiPhoneの中国販売台数は同5%増となり、他のスマートフォンと比較し著しい成長を示したと報告した。ただ、同氏は、2月は状況が変わるとみている。店舗の営業再開や生産能力回復の遅さが2月の業績を悪化させる可能性があり、先行きは不透明だとアーキュリー氏は指摘している。

 米調査会社のIDCも2月27日に公表したリポートで同様の報告をしている。それによると、2020年上半期の世界スマートフォン出荷台数は前年同期比10.6%減少する見通し。最も打撃を受けるのは中国市場だが、他の主要市場も影響を受けるとしている。その理由は、サプライチェーンに生じている部品不足や工場閉鎖、物流遅延といった混乱だ。これにより2020年通年のスマートフォン世界出荷台数は前年比2.3%減の13億3980万台にとどまり、市場がプラス成長に転じるのは2021年以降だとIDCは予測している。

関連リンク:Appleの発表資料
関連リンク:ロイター
関連リンク:IDCのリポート