米Facebook(フェイスブック)は2021年2月24日、報道機関を支援するため今後3年間で10億ドル(約1070億円)以上を投資すると明らかにした。18年からこれまで6億ドル(約640億円)を投じてきたが、次の3年間は7割近くを増額するという。
同社はニュースフィードとは別に、報道機関から配信されるニュースの見出しと要約を掲載する「フェイスブックニュース」を米国と英国で提供している。資金は同サービスに参加する報道機関に記事の対価として支払う。
フェイスブックは、IT大手に対し記事使用料の支払いを義務付けるオーストラリアの法案に反発していた。21年2月18日には豪国内サービスで、同国報道機関と海外報道機関の記事を遮断。豪報道機関の記事を世界中で閲覧できなくした。
同年2月22日に豪政府が法案の内容を修正することに同意したとし、措置の撤回を発表。2月26日に掲載を再開した。
フェイスブック、豪政府にあらためて反論
フェイスブックの広報・国際担当副社長のニック・クレッグ氏(元英副首相)は2月24日付の声明で、豪政府の当初の法案にあらためて反論した。
「報道機関は自社の公開ページに自主的に記事を投稿している。自社の記事サイトに投稿ボタンを設置し、利用者による記事の共有を促している。それらがニュースフィードに表示されているだけだ。我々が頼んだものでもなく、勝手に収集したものでもない記事に対し、法外な使用料の支払いを求める法案は当社と報道機関の関係を根本的に誤解している」と述べた。
「利用者がフェイスブック上で共有されたリンクをクリックすると、報道機関のサイトに誘導される。昨年だけでも51億回にわたり無償でオーストラリア報道機関のサイトに誘導した。その効果はオーストラリアのニュース産業にとって4億700万豪ドル(約330億円)にも値する」と説明。
一方で、「ニュースフィードで表示される記事は全体の25分の1以下と、当社へのメリットは少なく、フェイスブックが報道機関の記事を盗んで利益を得ているという主張は誤りだ」とも述べた。
同氏は「一部のメディアコングロマリットが損失を埋め合わせるための資金源として当社をみるのも理解できるが、だからと言って、無制限に金額を要求してもよい、ということになるのだろうか」と疑問を呈した。そして、「これまでの6億ドルと今後3年間の10億ドルは、当社が報道機関を支援するための代替策だ」と説明した。