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 米アップルが直営店「Apple Store」の営業を一部再開している。

 新型コロナウイルス感染拡大の対策として、同社が直営店「Apple Store」の全面的な一時閉鎖を決めたのは2020年2月だった。同1日に中国本土の42店舗を一時閉鎖。その後、台湾と香港を含む中国の店舗を全店再開したが、3月16日、これら中華圏を除く世界460店舗を一時閉鎖すると発表。

 それ以降、これまで韓国やオーストラリア、ドイツなどの一部の店舗が再開したと伝えられた。アップルの情報に詳しい米メディアの9to5Macによると、カナダでは29店中12店が、イタリアでは17店中12店が再開。日本では福岡と名古屋の店舗が5月27日に、東京など他の店舗も6月3日に再開した。

 現在、アップルは全世界で510店の直営店を展開している。このうち271店と、世界で最も多く店舗展開している米国でも5月中旬から徐々に再開している。ただし、米CNBCやロイターによると、多くの店舗は事前注文商品を店先で渡す「カーブサイド」サービスなどの限定的な営業にとどまっている。

 米ミネソタ州ミネアポリスで5月25日に黒人男性が白人警察官に暴行を受け、その後死亡した事件が全米で抗議デモを引き起こした。過激化した参加者による店舗襲撃が起こり、再開した店舗が再度閉鎖するなどしているもようだ。

 入店を許可する場合は、店員と顧客に検温とマスク着用を義務付け、人数制限や物理的距離を確保するソーシャル・ディスタンシングのルールを設けている。小売担当シニア・バイスプレジデントのディアドラ・オブライエン氏は5月17日に出した顧客宛ての公開書簡で、「(店舗では)終日、設備や器具、展示商品などの消毒を徹底する」と述べていた。

関連リンク:9to5Macの記事
関連リンク:CNBCの記事
関連リンク:ロイターの記事
関連リンク:アップルの公開書簡

iPhone7%減もサービス17%増で過去最高更新

 世界各国が徐々に経済活動を再開する中、アップルの小売事業もこれに合わせ、注意を払いながら事業活動を再開していく。しかし、スマートフォン「iPhone」をはじめとするハードウエア製品の小売事業には大きな影響が及んでいるようだ。

 例えば、先ごろアップルが発表した2020年1~3月期の決算では、iPhoneの売上高が289億6200万ドル(約3兆1200億円)となり、前年同期から7%減少した。同四半期中のほぼ1カ月半にわたり直営店を閉鎖していた中華圏の売上高は同7%減と大きく落ち込んだ。その一方で、腕時計端末の「Apple Watch」やワイヤレスヘッドホン「AirPods」といった「ウエアラブル、ホームおよびアクセサリー」は同23%増加した。これらはオンライン販売との相性が良いのかもしれない。

 また、アプリや音楽の配信などの「サービス」は同17%増。サービス部門の売上高は133億4800万ドル(約1兆4400億)で、四半期として過去最高を更新した。これにより、同四半期の全体の売上高は、同1%増の583億1300万ドル(約6兆2800億円)となり、わずかながらも増収を維持した。

アップルのサービス部門四半期売上高推移(2014年以降)。2020年1~3月期に過去最高を更新した
アップルのサービス部門四半期売上高推移(2014年以降)。2020年1~3月期に過去最高を更新した
(出所:ドイツ・スタティスタ https://www.statista.com/chart/14629/apple-services-revenue/)
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 新型コロナウイルスの感染拡大対策として外出制限が敷かれ、「巣ごもり消費」が急増したこともサービス急伸の一因だったのかもしれない。

 例えば、米動画配信大手ネットフリックスの2020年1~3月期の決算は、売上高が前年同期比27.6%増の57億6800万ドル(約6220億円)、純利益は同約2.1倍の7億900万ドル(約765億円)だった。同四半期における世界の有料会員数は1億8286万人で、3カ月前と比べて1577万人増加した。ネットフリックスは「1~2月の会員数の伸びは過去2年と同水準だったものの、3月に多くの国で外出制限令が敷かれ、会員数が増えた」と説明した。

関連リンク:アップルの決算資料