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宅配業務の起業を支援する「デリバリー・サービス・パートナー」

 最終物流施設から顧客宅に商品を届ける経路は、「ラストマイル」と呼ばれる。米Wall Street Journalによると、昨今はeコマースの普及に伴い運送業者間の人材獲得競争が激化しており、ラストマイル分野のドライバーが不足している。

 Amazonはその対策として、独自の取り組みを始めている。2018年6月に開始した「デリバリー・サービス・パートナー」と呼ぶプログラムだ。同社はこのプログラムを通じ。宅配業務の起業を支援している。

 例えばAmazonのロゴが入ったリース車両や制服、そしてガソリン、保険など、業務に必要なものを安価で提供する。またドライバーの研修プログラム、Amazonの宅配情報システムへのアクセスも用意するほか、事業に必要な様々なサービスも安価で提供する。

 同プログラムは現在、米国のほか、英国とスペインにも広がっている。これまでに同プログラムに参加して開業した企業の数は約200社。また、各社が雇用した配達ドライバーは合計数千人に上ると、Amazonは説明している。同社はこうした専用の宅配業者をさらに増やしたい考えだ。2019年5月13日には、プログラムを拡大し、新たに同社の従業員を対象に希望者を募ると発表した。最大1万ドル(約110万円)の起業資金を提供するとともに、給料の3カ月分に相当する資金を援助する。事業立ち上げ後は、Amazonがコンスタントに仕事を発注する。

 Amazonは現在、米UPS(ユナイテッド・パーセル・サービス)や、米USPS(郵政公社)、米FedEx(フェデックス)といった物流大手にラストマイル業務の多くを委託している。しかし、今後は徐々にこれら大手への発注を減らし、2022年には同社が米国で販売するeコマース商品の荷物のうち5割を同社のデリバリー・サービス・パートナーが配達するのではないかと、Wall Street Journalは伝えている。

関連リンク:Wall Street Journal
関連リンク:Amazonの発表資料

荷主と輸送業者をつなぐマーケットプレイス

 CNBCやWall Street Journalなどの米メディアは2019年5月、Amazonが輸送サービスの仲介事業に乗り出したと報じた。こちらは、荷主と輸送業者をネットでマッチングするサービス。Amazonは、2018年に「freight.amazon.com」というWebサイトを立ち上げた。荷主がこのサイトで集荷場所と配達場所の郵便番号、集荷日を入力すると、見積額が即座に表示される。

 現在このサービスは、ニューヨーク州やニュージャージー州、メリーランド州、ペンシルベニア州、コネティカット州で展開している。「ドライバン」と呼ばれる箱型の荷室を持つトラック1台分の荷物を輸送するサービスだ。Wall Street Journalによると、Amazonの料金設定は市場の一般的なものよりも4~5%ほど低い。

 現在は試験サービスの段階で、対象は、米国の5つの州や数百の業者に限られる。しかし、これが本格的に始まれば、輸送・物流大手の米C.H. Robinson Worldwide(CHロビンソン・ワールドワイド)や、米XPOロジスティクス(XPO Logistics)、あるいは配車サービスを手がける米Uber Technologies(ウーバーテクノロジーズ)の貨物事業「Uber Freight(ウーバー・フレイト)」への脅威になると、CNBCは伝えている。

関連リンク:CNBC
関連リンク:Wall Street Journal