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 米Amazon.com(アマゾン・ドット・コム)は2020年9月23日、地球環境保護の取り組みを支援する製品を後押しするプログラム「クライメート・プレッジ・フレンドリー」を発表した。非営利団体の「Cradle to Cradle Products Innovation Institute」などの18機関と提携し、「サーキュラーエコノミー(循環型経済)」をサポートする製品の販売と開発を促す。

 具体的には、アマゾンのサイトで各機関の持続可能認証のうち、1つ以上を取得した製品にクライメート・プレッジ・フレンドリーのラベルを付ける。商品の一覧・詳細ページではこのラベルとともに、どの機関の認証を得ているのかといった情報も表示する。消費者は専用ページで商品を探し、購入できる。対象とする製品分野は食品や日用品、衛生用品、衣料品、家電製品などで2万5000点以上。これらの商品を購入することで、循環型経済への転換に貢献できるとしている。

独自の認証制度「コンパクト・バイ・デザイン」

 この持続可能認証は計19機関のものがあるが、うち1機関はアマゾンである。同社は「コンパクト・バイ・デザイン」と呼ぶ独自の認証制度を始めた。その目的は輸送効率に配慮した製品の開発を促すことだ。

 例えば、過剰包装を避けたり、パッケージの空気量を減らしたりして、包装を小型化したものや、容器の形状を工夫して空き空間も含めた全体の体積を小さくしたもの、容器の素材を変更して軽量化したものなどに認証マークを与える。このほか、従来は液体だった製品を固形にしたり、液体製品を高濃度にしたりして、容積を減らしたものも対象にする。アマゾンのジェフ・ベゾスCEO(最高経営責任者)は声明で、「このプログラムはお客様がより多くの持続可能な製品を発見するためのシンプルな方法。19の認証制度で販売パートナーの製品開発を支援し、将来世代のために地球環境を守る」と述べた。

 アマゾンは自社物流事業からの二酸化炭素排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を目指すプロジェクト「シップメント・ゼロ」を立ち上げており、30年までに50%を達成する目標を掲げている。その一環として、18年からメーカーに対し、パッケージの簡素化や小型化を要請してきた。

 消費財メーカーは商品が店頭に並ぶことを想定し、できるだけ訴求力のあるパッケージデザインを追求する。しかし、「EC(電子商取引)ではその必要はない。むしろ輸送に負担がかからず、地球環境に配慮したパッケージが好ましい」とし、メーカーに協力を求めている。米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、アマゾンは年間数百万個もの荷物を宅配している。近年はその事業活動が温暖化ガス問題の元凶だと指摘され、圧力が強まっているという。

2040年までに二酸化炭素排出を実質ゼロに

 アマゾンは19年9月、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の前事務局長、クリスティアナ・フィゲレス氏が創設したグローバル・オプティミズムとともに、気候変動対策に関する誓約「クライメート・プレッジ」を発表した。パリ協定の目標年である50年よりも10年早くカーボンニュートラルを達成することを約束している。先ごろはこの誓約書に米通信大手のベライゾン・コミュニケーションズやインドのIT(情報技術)大手インフォシスが署名したと報じられた。

 アマゾンはその一環として20年8月に独自動車大手ダイムラーの乗用車部門メルセデス・ベンツに配送用電気自動車(EV)1800台以上を発注した。「eスプリンター」約1200台と「eヴィトー」約600台を欧州全域の配送業務に導入する計画で、メルセデスは年内に納車を開始する。このとき、メルセデスもクライメート・プレッジに参加した。アマゾンは20年6月26日に自動運転技術を手がける米国のスタートアップ企業Zoox(ズークス)の買収を発表し、こちらも脱炭素社会の実現を目指す取り組みの一環だとしている。

アマゾンの物流センターの屋根に設置されたソーラーパネル。同社は2025年までに再生可能エネルギー利用100%を目指すという
アマゾンの物流センターの屋根に設置されたソーラーパネル。同社は2025年までに再生可能エネルギー利用100%を目指すという
(出所:Amazon.com)
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