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 米Amazon.com(アマゾン・ドット・コム)は2021年9月、家庭用小型ロボット「Astro(アストロ)」や家庭用セキュリティードローン「Ring Always Home Cam(リング・オールウェイズ・ホームカム)」など計10種類の新製品を発売すると明らかにした。

 その多くを実験的な製品と位置付けており、消費者に受け入れられるかどうかは分からない。だがもしヒットすれば、今後の新たな製品やサービスの開発につながる可能性がある。先ごろは同社が米国で百貨店のような大規模小売店を出店する計画だと報じられた。他社向け物流サービスへの投資を増やしているとも伝えられている。

 これらは一見、突拍子もない挑戦のように思える。だがこれこそがアマゾンの事業成長パターンと言えるのかもしれない。

アマゾンの家庭用小型ロボット「Astro」。音声認識人工知能「Alexa」を内蔵し、家庭内モニタリングなどを行う
アマゾンの家庭用小型ロボット「Astro」。音声認識人工知能「Alexa」を内蔵し、家庭内モニタリングなどを行う
(出所:Amazon.com)
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成長戦略1:風変わりなハードウエア展開

 21年9月に発表した製品には、壁掛けも可能な15.6型スマートディスプレー「Echo Show(エコー・ショー) 15」やスマートサーモスタット(室温調整機)「Amazon Smart Thermostat」、スマートセキュリティーカメラ「Blink Video Doorbell(ブリンク・ビデオ・ドアベル)」、フィットネスバンド「Amazon Halo View(アマゾン・ヘイロー・ビュー)」、子ども向け短焦点プロジェクター「Amazon Glow(アマゾン・グロー)」などもある。

 同社はこれまでに眼鏡型端末「Echo Frames(エコー・フレームズ)」や指輪型端末「Echo Loop(エコー・ループ)」、スマートオーブンレンジ「Amazon Smart Oven」なども発売しているが、米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)はこうした同社のハードウエア戦略について、「その野心は年々大きくなるばかりで、奇妙な方向に進んでいる」と報じている。

 アマゾンはこれらの製品の販売実績を公表していない。しかし米Microsoft(マイクロソフト)のノートパソコン「Surface(サーフェス)」の売上高全体に占める比率が4%未満にとどまることを考えると、アマゾンにおいてもハードウエアの売上比率はごくわずかと考えられるという。

 アマゾンの製品戦略は風変わりな方向に進むことがある。スマートフォン「Fire Phone(ファイアフォン)」のように失敗に終わった製品もある。だからといって同社のハードウエア事業を過小評価してはならないとWSJは指摘している。アマゾンのハードウエアは、その売り上げをはるかに超える効果をもたらすからだという。

 同紙によると、アマゾンは2007年、電子書籍端末「Kindle(キンドル)」の発売をきっかけに電子書籍配信事業を立ち上げた。その規模は現在、米国だけでも年間10億ドル(約1200億円)以上に上る。また、スマートスピーカー「Echo」は音楽配信サービス「Amazon Music(アマゾン・ミュージック)」の利用者増に寄与している。米投資銀行エバコアISIによると、Amazon MusicはスウェーデンSpotify Technology(スポティファイ)に次いで人気がある音楽サービスだという。

 アマゾンのデバイス&サービス部門担当デービッド・リンプ上級副社長は「狙いはハードウエア製品そのものの売り上げではなく、サービスと密接に統合されたハードウエアを開発することだ」と述べている。同社の21年4~6月期におけるサブスクリプション(サブスク、継続課金)型サービス事業の売上高は前年同期比32%増の79億1700万ドル(約8900億円)だった。直近1年間のサブスク売上高は約290億ドル(約3兆2400億円)。この金額は22年末にも400億ドル(約4兆4700億円)近くにまで達するとアナリストらは予測している。

 アマゾンは21年9月、自社開発したテレビを米国で発売すると明らかにした。音声認識人工知能(AI)「Alexa(アレクサ)」を搭載し、番組切り替えなどの操作が音声で命令できるというものだ。このテレビは動画ストリーミング端末「Fire TV」の成功があったからこそ生まれたとWSJは指摘している。

関連リンク アマゾンの発表資料(家庭用小型ロボット) WSJ(アマゾンのハードウエア戦略) アマゾンの発表資料(21年4~6月期決算) アマゾンの発表資料(自社開発テレビ)