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 米アマゾン・ドット・コム(Amazon.com)は2020年に新たな食料品店をオープンする計画だ。CNBCやCNETなどの米メディアによると、同社の広報担当者が計画について認めている。

 場所は米カリフォルニア州ロサンゼルス市ウッドランドヒルズのショッピングセンター内。11月11日付で同社の求人サイトに公開された募集案内には「アマゾン食料品ストアの1号店」とある。

 店名や取扱商品、価格帯などの詳細は明らかにしていないが、アマゾンはこの食料品店を傘下の高級スーパーマーケット「ホールフーズマーケット」やレジ精算不要のコンビニエンスストア「Amazon Go」のように多店舗展開するとみられている。

 アマゾンの広報担当者によると、食料品の新店舗はホールフーズマーケットとは異なる形態の店となり、それぞれが独自の展開をしていくという。「ホールフーズは高品質オーガニック/ナチュラルフーズのリーダーとして今後も成長していく。今年は17店を新規オープンしたが、さらなる新規出店も計画している」と話している。一方、新たな食料品店では、消費者にもう1つの選択肢を提供するという。

 米ウォール・ストリート・ジャーナルによると、アマゾンはロサンゼルスで十数件のリース物件を契約している。そのうちの1つはウッドランドヒルズのかつてトイザラスがあった約3200平方メートル(約1000坪)の店舗だ。関係者によると、同社はロサンゼルス地域のスタジオシティーとアーバインの他、シカゴやフィラデルフィアでも出店を計画しており、ニューヨークやニュージャージー、コネティカットも検討中だという。

 これらの店舗は中間所得層の顧客をターゲットにしている。品ぞろえも店内調理の食品を除けば、米国のどのスーパーでも売られているような大手メーカーの商品で、価格も低く抑えられるという。

関連リンク:CNBC
関連リンク:CNET
関連リンク:Amazon.comの求人サイト
関連リンク:Wall Street Journal

提携企業の「アマゾン化」も推進

 同社は異なる形態の店舗を次々と展開している。Amazon Goは2019年現在米国で21店が営業中。対面販売の書店「Amazon Books」も21店舗ある。また18年には、アマゾンのサイトで顧客の評価が「星」4つ以上になったものだけを販売する新業態の「Amazon 4-star」をオープンした。こちらは現在7店舗展開だが、まもなく4店をオープンする計画だ。

 加えてアマゾンは提携店舗の拡大にも力を入れている。これらの施策により、顧客との接点を一気に増やしたい考えだ。

 19年6月には米ドラッグストアチェーン大手のライトエイド(Rite Aid)と提携し、eコマース商品の店頭受け取りサービス「カウンター」を米国で始めた。顧客はアマゾンのサイトで買い物をする際、配達先に最寄りのライトエイド店舗を選ぶ。商品が店に到着するとバーコード付きの電子メールが顧客のスマートフォンに届く。これを店頭でスキャンすると手続きが完了し、商品を受け取れる。商品は店に届いてから2週間保管する。

 ライトエイドとの提携では、まずは100店舗で店頭受け取りサービスを始めたが、近く対応店舗数を約1500店に増やす計画だ。さらにアマゾンは19年10月に、他の小売り大手とも同様の業務提携を結んだ。サプリメントやスポーツ栄養食品などを扱う小売りチェーンの米GNCとドラッグストアチェーンの米ヘルスマート、百貨店など様々なブランドの小売りチェーンを傘下に持つ米ステージストアの3社である。「カウンター」サービスの対応店舗数はこれらを合わせて「さらに数千店増える」という。

 ウォール・ストリート・ジャーナルによると、アマゾンの競合である米ウォルマートや米ターゲットは何年も前から数千店に上る自社店舗でeコマース商品の受け取りサービスを提供している。実店舗数ではこれら大手にかなわないアマゾンは複数の小売りチェーンと提携することで全米の店舗を「アマゾン化」し、これら大手に対抗する構えだ。