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(1)改正後5年間の出題傾向(鋼構造)

 鋼構造には大きく分けて材料、設計、施工、維持管理の四つの分野があります。下の表は、改正後の2013年度から17年度までの5年間の出題概要です。II―1は4問から2問を、II―2とIIIは2問からそれぞれ1問を選択します。出題内容は、上記のどの分野に属していても対応できるよう配慮されているようですが、出題数が少ないために選択できる問題は限られます。過去の出題内容から、自身が属する分野に関連した出題テーマを整理し、対策を立てておくことが必要です。業務の手順についても理解しておきましょう。

問題番号 出題概要 分野
2017年度 II 1―1 高性能鋼の特徴や利点、使用上の留意点 材料
1―2 鋼構造物の陸上輸送計画の調査項目と留意点 施工
1―3 性能照査型設計法の概説と要求性能、照査項目 設計
1―4 近接工事における第三者への安全対策 施工
2―1 大地震による損傷と補修方法および適用の留意点、補修設計の手順と重要な事項 設計
2―2 鋼構造物の施工時に必要な環境対策と業務の手順および留意事項 施工
III 1 生産性の向上における課題と技術的提案、提案の効果とリスクや課題 設計、施工
2 自然災害に対する防災・減災の問題点と課題および技術的提案、提案の効果とリスクや課題 設計、維持管理
2016年度 II 1—1 鋼構造物に生じる振動障害の発生原因と対策 設計
1—2 鋼構造物に適用可能な架設工法の特徴と留意点 設計、施工
1—3 大地震に対して全体崩壊を防ぐ耐震設計の考え方 設計
1—4 溶接部の欠陥検出に用いる非破壊検査の原理と留意点 維持管理
2—1 鋼とコンクリートの複合化の効果と設計手順および重要な事項 設計
2—2 防食法の原理と特徴、補修における施工計画の概要と重要な事項 維持管理
III 1 インフラの老朽化対策における問題点と課題および技術的提案、提案の効果とリスク 維持管理
2 インフラシステム輸出戦略などのグローバルな競争力強化に向けた取り組みにおける課題と技術的提案、提案の効果とリスク 設計、施工
2015年度 II 1—1 レベル1地震動とレベル2地震動の耐震設計法 設計
1—2 工場製作や現場施工における精度の確保 施工
1—3 高サイクル疲労と低サイクル疲労の特徴と損傷例および防止策 設計、施工
1—4 大地震発生後の点検における着目部位と損傷および点検・調査方法 維持管理
2—1 損傷に対する補修・補強の方法と効果、業務の手順と重要な事項 維持管理
2—2 現場継ぎ手の採用理由、品質を確保するための施工計画と重要な事項 設計、施工
III 1 人口構造や社会経済の変化を踏まえた建設分野の課題と技術的提案、提案の効果とリスク 設計、施工、維持管理
2 「国土のグランドデザイン2050」で示された国土デザインの基本理念と課題および技術的提案、提案の効果とリスク 設計、施工、維持管理
2014年度 II 1—1 高性能鋼の種類と使用部位、使用の理由 材料
1—2 耐震性を向上させる基本的な考え方と適用事例 設計
1—3 コンクリート構造物と比べた特徴、短所への設計または施工上の対応策 設計、施工
1—4 経年劣化による損傷形態、点検・調査の着目点と手法 維持管理
2—1 防せい・防食計画の策定時の検討事項と手順、実施における留意点 維持管理
2—2 求められる性能と精度管理、精度確保のための設計または施工計画上の提案と留意事項 設計、施工
III 1 国土強靭化を行ううえでの課題と解決策、解決策の効果とリスク 設計、施工
2 建設分野の労働力不足に関して克服すべき課題と解決策、解決策の効果とリスク 設計、施工
2013年度 II 1—1 鋼材の主要元素が鋼の性質や性能に及ぼす影響 材料
1—2 許容応力度設計法と比べた限界状態設計法の利点 設計
1—3 応力の伝達機構から分類されるボルト継ぎ手の接合方式 施工
1—4 防せい・防食法の原理と適用時の留意点 維持管理
2—1 耐震に関する旧基準と新基準の相違点、耐震補強設計の手順と留意点 設計
2—2 現場溶接の概要と選定理由、品質確保のための施工計画や重要な項目 施工
III 1 持続可能で活力のある国土・地域づくりの課題と解決策、解決策の効果とリスク 設計、施工
2 維持管理の課題と解決策、解決策の効果と実行する際のリスク 維持管理

 例えば17年度のIIは、13年度から16年度まで毎年度、取り上げられてきた維持管理の分野からの出題はなくなり、II―1は高性能鋼や陸上輸送計画、性能照査型の設計、近接工事における安全対策が、II―2は大地震後の補修と施工時の環境対策がそれぞれテーマでした。出題内容が広範囲に及ぶ傾向が見られますが、維持管理は今後も重要な分野です。頻出している耐震設計や鋼構造物の架設とともに、過去の出題内容をまずは把握しておいてください。

 IIIでも設計や施工、維持管理の分野が中心ですが、17年度の「生産性の向上」や16年度の「インフラシステム輸出戦略」、15年度の「国土のグランドデザイン2050」、14年度の「国土強靭化」や「労働力不足」など、時流を意識した出題が目立ちます。国の政策や施策の方向性を押さえておきましょう。

 併せて、18年1月以降の設計に適用される道路橋示方書の改定内容も必ず、確認してください。主に二つのポイントがあり、一つは部分係数設計法と限界状態設計法を採用したことです。これらの設計法によって、新しい技術や材料の利用、構造の合理化などが進展し、生産性の向上にも寄与すると期待されています。もう一つは、適切な維持管理を前提に、橋の供用期間を100年と規定したことです。維持管理までを見据えた設計がより重要になってきます。