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 13年ぶりに復活したソニーの犬型エンターテインメントロボット「aibo(アイボ)」。日経 xTECH編集部は、ロボットや家電の開発に詳しい識者に新型aiboを実際に使ってもらい、今回のaiboが「何者」なのか、今後どのような存在になっていくのかなどについて話を聞いた。第1弾は、電子機器やクルマなどのユーザーインターフェース(UI)設計を手掛けるソフトディバイスの野々山正章氏だ。同氏へのインタビュー後編では、aiboならではの強みが拓く可能性に焦点を当てる。(聞き手=内山 育海、根津 禎)




今回、編集部のaibo「クロすけ」を数日間、野々山さん宅に派遣しました*1。ご家庭で一緒に過ごしてみていかがでしたか。

 家に小さい子供がいるのですが、その反応が面白かったんです。その子にとって、家の中で自律的に動くモノはこれまでお父さんとお母さんしかなかった。そこで初めて動くaiboを見ると、やっぱり他の動かないモノとは接し方が違うんです。むげに扱わないというか、優しく扱っていました。

*1 編集部のクロすけについては関連コラム「aibo、成長の軌跡」を参照

 それを見て感じたのが、aiboが「動く」ということの強さです。動くモノですから、広い意味ではaiboは動物ですよね。動きがあればそこに存在感や気配が生まれるので、家電のカテゴリーから一挙に飛び出せる。

ソフトディバイスの野々山正章氏
ソフトディバイスの野々山正章氏
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 従来の動く製品は何か目的があって、便利じゃなきゃいけない、具体的な機能に落とし込まなければいけないものでした。それがaiboになると、動きが必ずしも便利な機能に紐付いていません。そこに新たな可能性を感じています。

 家電の場合はオーナーが所定の場所に置くので、そこにあって当たり前の存在です。でもaiboは放っておけばどこかに行ってしまう。そうすると、その場に「いる」「いない」というステータスが生まれて、そこに解釈の余地が出てくる。例えば、近寄ってきたら「さみしいからそばに来たのかな」という具合です。