PR

キーボードには伝統の客層キーを残す

 キーボードの中央部分には10個のキーがある。店員が顧客の見た目から、性別と年代を入力する「客層キー」だ。店員が会計の最後に客層キーを押さないと、精算が完了しない仕組みになっている。左側の5個は青い数字(男性)、右側の5個は赤い数字(女性)で、それぞれの数字は「12(~12歳)」「19(~19歳)」「29(~29歳)」「49(~49歳)」「50(50歳以上)」を意味している。

キーボードにある10個の客層キー。店員が顧客の性別と年代を見た目で判断し、入力する
キーボードにある10個の客層キー。店員が顧客の性別と年代を見た目で判断し、入力する
[画像のクリックで拡大表示]

 客層キーは顧客分析を徹底するため、1985年ごろにセブン-イレブンが業界で初めて導入したものだ。その後、同業他社にも広がった。しかし今回、セブン-イレブンとほぼ同時期にレジの刷新を進めているファミリーマートとローソンはともに、新型レジで客層キーを廃止した。いつまでもセブン-イレブンのまねをしていては、最大手の壁は越えられないと判断し、違う道を選んだわけだ。

 セブン-イレブンが客層キーを残したのは、決済手段の多様化と関係がある。セブン-イレブンは独自の電子マネー「nanaco(ナナコ)」を発行しており、nanacoの利用者については客層キーがなくても顧客属性を把握できる。しかし、nanacoの利用率はまだ顧客全体の20%強にとどまっている。全体を把握するには、全然足りない。客層キーは店員の「押し間違い」や「面倒なので適当に押す」といったリスクを避けられないが、それでもセブン-イレブンは押し間違いを10%台に抑えられているという。分析精度はある程度確保できていると判断し、客層キーを残した。

「マニュアルが嫌で辞める」は避けたい

 店員側の操作画面の大枠は変えていないものの、細かい点では機能や操作性を向上させている。例えば、数字キーや客層キー以外のキーは、画面変更で柔軟に機能を追加・修正できる「ソフトキー」に変えた。

 タッチパネルのディスプレー画面の操作では「マニュアルレス」を徹底した。宅配便や年賀状、スポーツくじなど10種類のサービス処理については、詳細なガイドを画面に出す。宅配便の受け付けなら、伝票のバーコードをスキャンすれば、あとは宅配の種類や届け先の入力ボタンが画面に表示され、それに従って順にタッチしていけば受け付けを完了できるようにしている。店員が迷うことなく、顧客を待たせる時間を最小限に抑えられる。

宅配便受け付け用の画面。店員が直感的に入力していけば、手続きを完了できるように工夫している
宅配便受け付け用の画面。店員が直感的に入力していけば、手続きを完了できるように工夫している
[画像のクリックで拡大表示]

 セブン-イレブンの店員数は2万店の合計で、約37万人に上る。だがそのなかには「店舗機器のマニュアルを覚えるのが苦痛で辞める」という人も少なくない。店員が辞めれば、人手の確保と教育はやり直しになり、コスト負担が増えていく。「そうした事案を少しでも減らしたい」(森シニアオフィサー)との思いで、マニュアルがなくても操作できるレジの設計を心がけた。

 店員確保のため、今後は外国人の採用を一層増やしていくことが考えられる。新型レジは店員用の画面を多言語対応できるように準備しているという。ただ、実際に使うかどうかは、今後慎重に検討していく。「レジの操作は日本語が分からなくてもできるように工夫したつもりだ。しかし、日本語が分からない外国人が本当に店舗業務をこなせるのかを精査していく必要がある」(同)。