福島第一原子力発電所の廃炉をはじめ、数多くの問題を抱える日本の原子力産業。自身も技術者として原子炉の安全解析などに従事した経験を持つ桜井淳氏が、日本の原子力産業の問題点と今後の方向性に鋭く迫ります。




福島第一原子力発電所の廃炉をはじめ、数多くの問題を抱える日本の原子力産業。自身も技術者として原子炉の安全解析などに従事した経験を持つ桜井淳氏が、日本の原子力産業の問題点と今後の方向性に鋭く迫ります。
ご存じのように、現地では1~3号機の炉心冷却に循環させている冷却水および原子炉建屋に流れ込んでいる地下水に起因する汚染水が日々発生しており、それを処理した水(処理水)をためている。本稿では、汚染水処理問題を考察する。
静岡県主催原子力防災訓練の意義と課題
静岡県は、福島第一原発事故の1年前、2010年3月23日に「静岡県防災・原子力学術会議」を設置*2。筆者は2014年4月1日に同会議の原子力分科会委員に任命された。それから約6年間、同委員会の定例会合の他、同県にある浜岡原子力発電所(浜岡原発)の現場調査や同県牧之原市に新たに設置されたオフサイトセ…
静岡県原子力防災センターと浜岡原発 視察記
浜岡原発を抱える静岡県の防災対策は、さまざまな項目において日本でトップクラスと言える。南海トラフ地震の可能性があるため、原子力防災施設と実施訓練内容は総じて優れており、日本のみならず世界の参考になると考える。
―福島第一原発事故から何を学ぶべきか―(2)
ブラウンズフェリー1号機では、事故終息操作として後に体系化された米原子力規制委員会(NRC)の技術基準通り、原子炉の減圧操作を最優先とし、原子炉格納容器のベンチレーション(ベント)は2次的問題と位置づけた。原子炉の減圧操作をくり返せば、原子炉の飽和温度が低下するからである。
―福島第一原発事故から何を学ぶべきか―(1)
現在、幾つもの原子力発電所が、再稼働に向けて新規制基準にかかわる適合性審査を申請している。新基準に基づいて厳しい安全対策を施しているものの、万が一過酷事故が起こった場合どうなるのか。原子力開発の経験を持つ桜井氏が、過酷炉心損傷事故対応能力の重要性と緊急性について考察する。