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福島第一原発2、3号機はどうだったか

 ブラウンズフェリー1号機と福島第一2、3号機の事故経過における共通点は、事故収束に欠かせない唯一の安全系であるRCICとSRVが機能していたことである1、3、4)。図2は、2、3号機の圧力容器の圧力変化である。ここからRCIC作動期間が分かる。2号機は約3日間、3号機は約1日 (RCIC停止直後から1日は高圧注入系が機能)連続的に機能していた。図3は、同原子炉格納容器圧力変化である。ちなみに、2、3号機の設計圧力はゲージ圧で3.8気圧とされている(図3の絶対圧力では4.8気圧)。

図2 2号機(左)、3号機(右)のRCIC作動期間
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図2 2号機(左)、3号機(右)のRCIC作動期間
〔参考文献4)から〕
図3 2号機(左)、3号機(右)の原子炉格納容器圧力変化
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図3 2号機(左)、3号機(右)の原子炉格納容器圧力変化
〔参考文献4)から〕

 事故直後の2、3号機のSRVの短時間の作動状況図は公開されているものの、RCICが作動していた全期間におけるSRVの動作状況については、断片的な記載しかない。少なくともRCICの作動中は、SRVの機能は生きていたが作動させてはいない。

 筆者の東京電力への聞き取り調査によれば、直流電池電源の取り替えといった機能回復に努め、特定の時間帯(2号機は直流電池電源交換後の13日13:10以降全ての時間帯、3号機はRCICとHPCIの作動期間中の全ての時間帯)でSRVが機能していたようだ1、3)。よって、2、3号機のSRVの作動時間帯は、連続的に1日以上あり、ブラウンズフェリー1号機よりも良い条件といえる。では、両事故で何が違うのか。

2つの原子炉の違い

 2つの事故を比較する前に、両原発の違いをみておこう。事故を比較する場合、比較対象の各要因が一致していなければならない。しかし、そうした事例はないので、公正な議論のためにも両者の相違点を検討し、それらが事故収束操作にどう影響しているかを考察しておく必要がある。

1)原子炉熱出力
 ブラウンズフェリー1号機の電気出力は110万kWで熱出力はその約3倍である。福島第一2、3号機の電気出力は78万kWで熱出力はやはり約3倍である。後者の電気出力は前者より約30%少なく、むしろ安全側の要因となる。

2)原子炉格納容器型式
 ブラウンズフェリー1号機の原子炉格納容器型式は「Mark Ⅱ」、福島第一2、3号機のそれは「Mark Ⅰ」である。容積は後者が前者よりも30%小さく、圧力逃がし安全弁を何度も開閉した場合、原子炉格納容器内の圧力上昇の程度に差が生じるものの、事故収束操作に対しては決定的な要因とはならないだろう。ただし、不確実性要因として、精度の高い解析が欠かせない。

3)サプレッションプール容積
 ブラウンズフェリー1号機のサプレッションプールの容積は3200m3、福島第一2、3号機のそれは2980m3。両者の差は無視できる。

4)余熱除去系の機能の有無
 ブラウンズフェリー1号機では、余熱除去系が機能しており、崩壊熱やサプレッションプールなどの冷却がなされていた。一方、福島第一2、3号機のそれは機能していなかった。このため、サプレッションプールの温度と圧力は上昇していた。福島第一原発2、3号機でも冷却水の循環冷却系を構成しなければならない。ただし、この点は不確実性要因として、今後さらなる精度の高い解析が欠かせない。

■参考文献
1)東京電力編、『福島原子力事故調査報告書』、2012.
2)R.L. Scott ; Browns Ferry Nuclear Power Plant Fire on March 22, 1975, Nuclear Safety, Vol.17, No.5 (1976).
3)桜井淳、『原発のどこが危険か』、朝日選書、1995.
4)東京電力編、『福島第一原子力発電所 東北地方太平洋沖地震に伴う原子炉施設への影響について』(http://www.nsr.go.jp/data/000024969.pdf),2012.