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ZEH普及に気になる影

ワタナベ:いまやハウスメーカーも設備メーカーもZEH仕様を“これからの住宅”としてアピールしていますよね。地場の工務店に向けの情報発信やセミナーなども官民ともに積極的に開催しているようですし。順調にZEHは普及するんじゃないですか。

Yデスク:ただ、気になるデータもあるんだ。経済産業省が進めるZEH支援事業の執行団体である環境共創イニシアチブが発表した報告書によると、17年度のZEHビルダーの実績では、自社が掲げたZEHの建築目標をクリアできた会社が約3割。約6割は実績が0%だったんだ。

ZEHビルダーが2016年にZEHを手掛けた実績。当初設定していたZEH比率を上回ったZEHビルダーは約3割。6割近くは、達成率が0%だった(出所:環境共創イニシアチブ)
ZEHビルダーが2016年にZEHを手掛けた実績。当初設定していたZEH比率を上回ったZEHビルダーは約3割。6割近くは、達成率が0%だった(出所:環境共創イニシアチブ)
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 「ZEHビルダー」は、16年から経産省が始めた制度だ。ZEHを積極的に手掛けることを宣言し、年度ごとの目標値を設定して公開。実績報告などをすることが条件となっている。ハウスメーカーや工務店、設計事務所などが登録できる。国の補助事業を利用する場合は、ZEHビルダーであることが給付の条件でもある。


ワタナベ:旗は振っているものの、国が思うようにはZEHが普及していないということでしょうか。この報告書を見ると、達成できなかった理由は、工務店などで社内体制が整っていなかったことが挙げられていますね。

ZEHビルダーが設定した目標値を達成できなかった理由(出所:環境共創イニシアチブ)
ZEHビルダーが設定した目標値を達成できなかった理由(出所:環境共創イニシアチブ)
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Yデスク:でも、理由はそれだけではないと思うんだ。1つは、ZEHに対する顧客の認識度合。そもそもZEHの認知度が低いということもあるけれど、それ以前に、ZEHのメリットがうまく伝わっていないのではないだろうか。「ZEHは高価」と顧客に捉えられてしまい、敬遠されるという話をよく聞くんだよね。


 確かに、ZEHの場合、太陽光発電を搭載するなど、設備のコストはかさみがちだ。初期投資費だけで一般的な住宅と比較すると、価格が高く見えてしまう。だが、消費するエネルギー量が少ないことから、光熱費といったラインニングコストは、一般住宅よりも抑えることができる。長期的に比較すると日々の生活で必要な費用は安くなることが少なくない。


Yデスク:価格の話もそうだけれども、そもそも「ZEHとはなんぞや」ということが顧客にうまく伝わっていないのではないだろうか。ZEHのような省エネ住宅を売り込むときの営業トークにありがちな「暖かくて過ごしやすい、省エネで心地よい家ですよ」と言われても、顧客にとってはピンとこない。これじゃZEHを理解するのは難しいよね。

ワタナベ:そうですね。住宅会社の方々には、理解を広めるべく頑張っていただきたいものですね。

Yデスク:いや、そこでワタナベさんの出番なんですよ。

ワタナベ:え?


 ニヤリと笑ったYデスクは、さっとある資料を取り出した。そこには、「COOL CHOICE エコ住宅キャンペーン」と書かれていた。