PR

 地球温暖化対策のため、国をあげて推進している「省エネ住宅」。なかでも、ネット・ゼロ・エネルギー住宅(ZEH)は、顧客の認知度が低く、「建築費が高い」「効果がよく分からない」などの声が少なくない。省エネ住宅の良さをどう伝えるべきか。住宅ライター歴25年の筆者がヒントを探る。

 寒い。1月下旬の東京都東村山市は、数日前に首都圏を襲った大雪がまだ解けずに残っていた。筆者(ワタナベ)とYデスクはおぼつかない足取りで、とある目的地に向かっていた。


ワタナベ:前回の打ち合わせで、日本の省エネ住宅が普及するための鍵の1つは、「顧客の理解が進むことではないか」という話になりましたよね(「『省エネで心地よい住宅』の本性を暴け」を参照)。

Yデスク:これまで経験したことのない省エネ住宅に対して、価値やメリットについて顧客が納得できなければ、なかなか建てようと思えないでしょうからね。


 特に国が推進しているZEHは、顧客にとってハードルが高いといわれている。

 ZEHは、建物の断熱、設備の省エネ化、太陽光発電による創エネを組み合わせることで、家庭で消費するエネルギーを抑え、つくるエネルギーと使うエネルギーが年間で差引き正味ゼロになる家だ。国は将来的なZEHの姿として、自家発電などでエネルギーを自給自足する暮らしを描いている。

ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)の概要(出所:経済産業省)
ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)の概要(出所:経済産業省)
[画像のクリックで拡大表示]

 従来の住宅と比べ、省エネ性能が高いことから、住み始めてからの光熱費といったランニングコストの削減効果は高い。だが、建物の仕様や設備がレベルアップする分、イニシャルコストは上がる。イニシャルコストで考えるか、ランニングコストで考えるかで、ZEHに対する顧客の価値判断は分かれることが多い。

 そこで環境省では、「COOL CHOICE ZEH体験宿泊事業」という取り組みを実施(実施期間は17年12月から18年2月。この記事の執筆時点では終了している)。全国10カ所のZEHモデルハウスで一般の人を対象に宿泊体験の希望者を募り、その住み心地を体感してもらい理解を深めてもらおうというわけだ。

 我々はこの取り組み利用して、省エネ住宅を普及させるためのヒントを探して、講演や執筆で大もうけ…、いや、日本の住宅市場の発展に役立ててもらおうと考えたのである。


ワタナベ:で、なぜ我々は東村山市に来ているんですか?

Yデスク:環境省の取り組みに参加している、宿泊体験が可能なモデルハウスの1つがここにあるんだ。


 Yデスクが選んだのは、相羽建設(東京都東村山市)のモデルハウス「つむじ」だ。相羽建設は地域密着型の工務店で、約40年にわたり、地域の住宅、店舗などの建築需要に応えてきた。

相羽建設の宿泊可能なモデルハウス「つむじ」。取材で訪ねた日は、雪が残っており寒かった(撮影:安井 功)
相羽建設の宿泊可能なモデルハウス「つむじ」。取材で訪ねた日は、雪が残っており寒かった(撮影:安井 功)
[画像のクリックで拡大表示]

Yデスク:相羽建設は省エネ住宅に25年以上前から取り組んでいる。顧客への伝え方やその反応にも詳しいんじゃないかと思う。

ワタナベ:なるほど。それで実際に宿泊する前に、話を聞いておこうってわけですね?

Yデスク:その通り!