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シェアオフィス─「WeWork」進出で拡大

 オフィスビルを数多く設計している日建設計の山梨知彦氏(常務執行役員設計部門副統括)は、「2018年は日本の『シェア元年』になるだろう」と語る。山梨氏が注目するのは、18年2月に日本1号店を開業した米国のシェアオフィス(コワーキングスペースとも言う)大手「WeWork(ウィーワーク)」の動きだ。日本国内でも17年には話題のシェアオフィスがいくつか誕生したが、18年は、急成長しているWeWorkの日本上陸により「シェアオフィスが一気に浸透する」とみる。

 それはオフィスのつくり方にも影響を与える。ICT(情報通信技術)やIoT(モノのインターネット)が大きな力を発揮するのがこの分野だと山梨氏は考える。「人間の行動のリアルタイムな把握が進むことで、シェア状況にインタラクティブに反応する建築が必要とされるようになる」(同氏)

オールジェンダー─「ユニバーサル」の先へ

 体と心の性が一致しないトランスジェンダーの利用者に配慮したオールジェンダートイレを設置するオフィスや公共施設が目につき始めた。例えば、名古屋大学東山キャンパス内で2017年11月に開館した日本初のフェミニズム、ジェンダー研究専門の図書館にも、オールジェンダートイレが設置されている〔写真3〕。

〔写真3〕「名古屋大学ジェンダー・リサーチ・ライブラリー」では、オールジェンダートイレ2室と女性優先トイレ1室を設置した(撮影:日経アーキテクチュア)
〔写真3〕「名古屋大学ジェンダー・リサーチ・ライブラリー」では、オールジェンダートイレ2室と女性優先トイレ1室を設置した(撮影:日経アーキテクチュア)
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 バリアフリーやユニバーサルなど、誰もが使いやすく分かりやすいデザインに続いて、ウェルビーイング(身体的・精神的・社会的に満たされた状態)を実現する建築が求められている。ジェンダーのほかに、文化や宗教の多様性に配慮したデザインも一般化していくだろう。

稼ぐ保存─重文も積極活用へ転換

 文化庁は、国指定の重要文化財建築物を「活用」するための施策を盛り込んだ文化財保護法の改正を検討している。所有者や管理団体が収益事業なども組み合わせた保存・活用計画を作成し、現状変更などを国が認定する仕組みを設ける。2018年通常国会に法案を提出した。

 こうした動きの先取りともいえそうなのが、「日本橋2丁目地区第一種市街地再開発事業」。この再開発は09年に百貨店として初めて国の重要文化財に指定された高島屋日本橋店を保存しながら進める〔図1〕。にぎわい創出のため、保存建物の一部を改修することを文化財指定時から折り込んでいた。象徴的なのが北側で、歩行者道路をまたいで大屋根を架け、全体をガレリア空間とする。北側の壁には新たに開口部を設け、店内が見えるようにする。

〔図1〕右が重要文化財・高島屋日本橋店。車が往来していた区道を歩行者専用とする。上部には大屋根を架け、ガレリア空間とする(出所:高島屋)
〔図1〕右が重要文化財・高島屋日本橋店。車が往来していた区道を歩行者専用とする。上部には大屋根を架け、ガレリア空間とする(出所:高島屋)
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社会実験─広域で徐々に試す

 社会実験はもともと、行政が新たな道路施策などの導入に先立って、場所や期間を限定して事前検証するもの。近年、自治体と民間が手を組み、民間が収益を上げられる仕組みを許容する社会実験が増えてきた。こうした官民共同型社会実験の場となっているのは、道路上や河川敷地、橋の上、公園内などだ。

 建築家が中心となって仕掛ける例も目立ち始めた。藤村龍至氏はその1人。さいたま市の「おおみやストリートテラス」(2017年9月)、愛知県岡崎市の「めぐる、QURUWA」(17年10月)など、社会実験を積極的に取り入れながら街づくりに関わる。「公共施設は一度にバンとつくるのではなく、試しながら段階的につくっていく方向に変わっていく」(藤村氏)