全5897文字
PR

目利き4人の注目Keyword

山梨 知彦氏(日建設計常務執行役員、設計部門副統括)
山梨 知彦氏(撮影:山田愼二)
山梨 知彦氏(撮影:山田愼二)
[画像のクリックで拡大表示]

VUCA(ブーカ)

 「VUCA」は、「Volatility(変動)」「Uncertainty(不確実)」「Complexity(複雑)」「Ambiguity(曖昧)」の4つの言葉の頭文字を取った造語だ。もともとは軍事用語で、2000年代以降のカオス化する経済状況を捉えている。この言葉に象徴されるような複雑な状況を前提にした設計が求められている。

300m級超高層

 日本でも超高層建築が高さ300mを超える時代に突入し、新たな構造的テーマが生まれるだろう。100~200m台の超高層では構造検討時に「風」が支配的だが、300mを超えると地震、特に長周期地震動対策が支配的になる。外観もそれを踏まえたデザインが検討されるようになる。(談)

藤村 龍至氏(東京芸術大学美術学部建築科准教授、RFA主宰)
藤村 龍至氏(撮影:日経アーキテクチュア)
藤村 龍至氏(撮影:日経アーキテクチュア)
[画像のクリックで拡大表示]

ニュータウン経営

 商店街の再生については関心が高まっており、建築家が関わる例が増えてきた。だが、住宅地をどう活気づけるかについては関心が薄い。ニュータウン生まれの自分にはそちらの方が切実な問題だ。その方策を探るため、埼玉県鳩山町の空き店舗につくられた新しい公共施設「コミュニティ・マルシェ」で、17年夏から私たちの事務所(RFA)が指定管理者として運営を手掛けている。

「1分の1」教育

 東京芸術大学で教えているが、これからの建築教育には「1分の1」が重要だと感じている。設計製図課題にやる気を見せない学生も、原寸でものを制作することには興味を持つ。デジタルとの組み合わせにより、建築教育の変革が進むだろう。(談)

五十嵐 太郎氏(東北大学教授、建築史家)
五十嵐 太郎氏(撮影:鈴木愛子)
五十嵐 太郎氏(撮影:鈴木愛子)
[画像のクリックで拡大表示]

アイコン建築

 アイコン的な分かりやすい建築が世界の主要都市に次々と建ち、それが観光資源になっている。東京だけがそれを嫌っているように見える。新国立競技場でザハ案をたたき潰したことで決定的になった。今は世界で評価されている日本の建築だが、この先が心配だ。

地方都市の駅前

 2017年度のグッドデザイン賞の審査をしていて、東京よりも地方都市の駅前の方が面白いプロジェクトが多いと感じた。地方都市は危機感から思い切ったことやらざるを得ない。若手の建築家にチャンスを与えている。それは東京の不自由さの裏返しともいえる。(談)

磯 達雄氏(建築ジャーナリスト)
磯 達雄氏(撮影:生田 将人)
磯 達雄氏(撮影:生田 将人)
[画像のクリックで拡大表示]

ラーニングコモンズ

 学校建築がこの10年でだいぶ変わった。その象徴が「ラーニング・コモンズ」。学生の学習支援を意図して設けられた開放的な空間だ。そこでは移動式の家具などにより、頻繁に空間をつくり変えられるデザインが求められ、設計者の工夫の余地が大きい。

図書館複合

 図書館と他の機能を合築した公共施設が増えている。以前からそうした複合はあったが、近年は、それを空間的につなげる動きが盛んだ。福島県須賀川市で建設中の須賀川市市民交流センター(設計:石本建築事務所、畝森泰行建築設計事務所)では、図書館機能が分割されて各施設にちらばっているのが興味深い。(談)