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インテリジェントセキュリティー─ 進化する「群衆行動解析」

 セキュリティー技術の進化が加速している。顔認証による入退室管理によって滞留がなくなれば、オフィスエントランスなどは省スペース化できるかもしれない。羽田空港では2017年10月に「顔認証ゲート」による日本人の帰国手続きで自動化が始まった。

 顔認証技術の実装が加速する一方、駅や商業施設、イベント会場など、人が群となっている場所でのセキュリティー技術も進歩している。

 NECが開発している群衆行動解析は、監視カメラなどの映像を解析し、群衆の流れと人数、異常を検出する〔図4〕。既存のカメラで撮影した画像をプログラムで解析できるので、大掛かりな電気工事を必要としないのが売りだ。人の手による計測と違い、何時間分でも連続して記録を取れる。利用者の年齢・性別も解析できるため、商業施設などのマーケティングにも応用できる。

〔図4〕重なり合う人を塊として認識し、人数や方向別の通過人数を定量的に把握する群衆流量推定の一例。専用デバイスを通せば映像をそのまま匿名加工情報化できる(出所:NEC)
〔図4〕重なり合う人を塊として認識し、人数や方向別の通過人数を定量的に把握する群衆流量推定の一例。専用デバイスを通せば映像をそのまま匿名加工情報化できる(出所:NEC)
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 ある断面を通過する人の方向と人数をリアルタイムでグラフに表せば、あらかじめ決めた基準を超えた時点で警告を発し、混雑緩和のために誘導員をすぐ増員するなど効率的な管理ができる。混雑状況から推定したトイレや飲食店の待ち時間を遠隔で知ることも可能だ。

 混雑緩和に利用するほか、人々が何かを取り囲んでいる様子や、散って逃げる様子を異常として検知し、即座に警告を発することもできる。短時間で多くの情報を解析する技術が人の多く集まる空間のマネジメントを大きく変えるかもしれない。

警備ロボット─羽田空港の最先端サービス

 羽田空港ではロボット技術の活用を目的とし、2016年から「Haneda Robotics Lab」を開催している。実証実験期間中は、警備ロボットのほかに物流や翻訳をサポートするロボットがサービスを提供する。

 公共施設へのロボット導入は今や珍しくない。自律して移動するロボットに対して、建築側の配慮を要することも増えそうだ。

 ALSOKの警備ロボット「Reborg-X」はバリアフリーに準拠した傾斜5度、点字ブロック同等の段差10mmまでは走行できる〔写真3〕。しかし、毛足5mm以上のカーペット上は走行できず、鏡面やガラス面に対して一部のセンサーが機能しない可能性がある。重量は140kgで、床面への影響は未知数だ。ロボットと人が共存する空間の仕様はこれまでと少し異なってくるかもしれない。

〔写真3〕ALSOKの警備ロボット「Reborg-X」は実証実験「Haneda Robotics Lab」に2年連続参加している(撮影:日本空港ビルデング)
〔写真3〕ALSOKの警備ロボット「Reborg-X」は実証実験「Haneda Robotics Lab」に2年連続参加している(撮影:日本空港ビルデング)
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レジリエンス─都市に必要な強靭さ

 防災・減災の合言葉ともいえるレジリエンスは、「しなやかなさを持った回復力」を意味する。国や自治体が目指しているのは、強靭なバネのように弾力性があって、災害からすぐに回復できる都市だ。

 米国のロックフェラー財団は「100のレジリエント・シティ」プロジェクトで、パリ、ロンドン、ニューヨーク、ローマ、京都市、富山市など世界の100都市を選定している。選定された都市は同財団から財政的・技術的支援などを受けて、レジリエンス戦略を作成する。

 行政や専門家、民間企業、さらに市民が一体となり、新しい技術や考え方を取り入れることで安全・安心な建築で構成されたレジリエントな都市・社会がつくられていくだろう。