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技術それ自体は価値を生まない

 CTOとは、現実には「技術本部長」という役職にほぼ相当すると思われます。企業の屋台骨を支える技術(テクノロジー)を管轄する役割です。企業の価値の源泉だと捉えられます。でも、実際に価値を生むのはCTOではありませんし、技術そのものでもありません。

 技術は、価値と無関係だと言っていいかもしれません。例えば、技術の論文それ自体にはある意味で価値がない。その論文が引用され、利用されたときに初めて価値を生み出す領域に移転されたに過ぎない、でもまだ価値は生んでいない。現実の形になって、それを利用する人に供せられたときに、ようやく価値の大小が測られるのではないでしょうか。

 そのようなステップがあることを理解しないと、『品質をどこで維持するか』のポイントを間違えてしまうように思います。技術そのものの存在はもちろん、存在という意味では認められますが、それだけでは価値にならない。引用され、利用されて初めて価値を生み出す領域に移転されて、さらに世の中の役に立って初めてどのくらいの価値になるかが分かる。そういう段階を理解した上で、ものづくりに携わる方々が自分の仕事はどのような役割を担っているのか、というように考えない限り、今回のような品質クライシスを生んだような問題の再発防止はできない、と思います。