この連載で繰り返し情報システム部門やIT組織(以下、情シス組織と表す)の強みや武器について言及してきた。全社横断でITシステム構築・導入・運用などを担ってきた情シス組織。振る舞い方次第、スキルやマインドの持ち方次第では、組織全体にインパクトを与える変革推進役として活躍し得る。ひいては、経営の力強い右腕になり得る。
とはいえ「楽観的過ぎるのでは?」「(情シス組織に)期待しすぎでは?」「夢物語では?」なる、失笑交じりのコメントもいただいた。なにはともあれ「そもそも新しいチャレンジをする時間も余力もない」。そんな現実的な声も大変よく聞く。その通り。新たな行動、新たなチャレンジをするためには、そのための時間と余力を創出する必要がある。今回は、情シス組織の余力をどう創出するかを考えてみたい。
「そうはいっても、目先の仕事で手いっぱいなんです……」
め:目先の仕事で手いっぱい
拙著『職場の問題かるた』(技術評論社)に収録した札のフレーズの一つである。新年らしく、かるたの札を題材に情シス組織の課題をひも解いていこう。

上からはチャレンジをせよ、イノベーションをせよと言われる。さらにはDX(デジタル変革)の圧をかけられる情シス組織。しかしながら、情シス組織の現場の実態は以下のようなものだ。
「そうはいっても、目先の仕事で手いっぱいなんです……」
「新しいことを考える時間なんてありません」
「新技術を学んだり、新しいことを学習したりする余裕がないのです」
嘆きの声の嵐。しかしその状況に身を委ねていては、経営からの期待にも応えられず、社内における情シス組織のプレゼンスも上がらない。そこで2023年こそは組織として「やめられる仕事」「減らせる仕事」を決め、新しいことに取り組む時間と余力を創出していこう。
「どんな仕事も、細かく分類・分解してみれば必ず改善の余地を見つけることができる」
これは、筆者がかつて取材をしたある製造業の社長の言葉である。情シス組織の仕事においてもしかりだ。冷静に仕事を分類・分解し、「やめられないか」「減らせないか」を考えていきたい。情シス組織において実際にやめたり、減らしたりできた仕事を5つ紹介する。