全2667文字
PR

 こんなケースもある。設計書やソースをそのままコピペ。他システムとの無駄に複雑なインターフェースや過剰なチェック処理、イケていないコーディングによる重たい処理などがそのまま生き延びる。

 オンラインの挙動を遅くしたり、バッチ処理時間を遅延させたり、無駄なエラーを吐いて通知を送ったりして運用担当者の手を煩わせる。

現行整理や改善に投資して評価せよ

 これらの悲劇は、一言で表せば要件定義や開発時の「行き当たりばったり」「先送り」に起因する。とはいえ、既に生まれてしまったシステム。それを言っても後の祭りである。

 せめて、ドキュメントの(再)作成やアップデート、コードレビュー、リファクタリング(ソースコードの再整理)など現行整理や改善の活動に時間とお金を投資してほしい。心ある運用保守担当者は、自主的にそのような取り組みをするだろう。しかし、なかなか地道な活動である。日の目を見ず、評価されなければ続かない。あるいは一個人の活動で終わってしまう。担当者の善意に頼るのは組織としていかがなものか。

 開発や運用のフレームワークの導入も有効である。筆者は運用のやり方がバラバラで非効率だった現場を、ITILベースの運用に変えたことがある。1つのフレームワークに沿った運用をすることで、マルチベンダーでもコミュニケーションのロスが減った。変更やリリースの品質が向上した。後任を育成しやすくなった。

 他にもメリットはある。グローバルなフレームワークを採用することで、用語やツールを統一することができ欧米やインドなど海外拠点のエンジニアともやり取りしやすくなった。

 フレームワークをベースにした開発体制、運用体制を整えておくと、グローバル化やM&Aなどによる変化に柔軟に対応しやすくなる。

 また、標準的なフレームワークを導入して定着させる経験や、フレームワークにのっとって仕事をする経験は間違いなくエンジニア本人の市場価値やemployability(雇われるチカラ)を高める。

 世の中、首尾よく働き方改革ブームである。例えば「働き方改革」の大義名分で、現行システムの整理や改善に時間とお金を投資してみてはいかがだろうか。

沢渡 あまね
あまねキャリア工房 代表/なないろのはな 取締役/NOKIOO 顧問
沢渡 あまね 1975年生まれ。業務改善・オフィスコミュニケーション改善士。IT運用エバンジェリスト。大手自動車会社、NTTデータ、大手製薬会社などを経て、2014年秋より現業。企業の業務プロセスやインターナルコミュニケーション改善の講演、アドバイス、執筆活動などを行っている。ユーザー企業のシステム担当、ITベンダー企業のITサービスマネジャー、プロジェクトマネジャー、認証基盤の運用エンジニアを経験。著書に『仕事ごっこ』『システムの問題地図』『マネージャーの問題地図』『職場の問題かるた』『職場の問題地図』『業務デザインの発想法』(技術評論社)、『運用☆ちゃんと学ぶ システム運用の基本』『新人ガール ITIL使って業務プロセス改善します!』(C&R研究所)などがある。趣味はダム巡り。(写真出所:あまねキャリア工房)