今回取り上げる現場の悩みはこちらだ。
「叱る」という考え方をまず捨ててみよう
まず、マネジャーやリーダーは「叱る」という発想を捨ててみよう。もちろん、重大インシデントにつながる行動を阻止したり、生命を脅かす危険が迫っていたりする場合は例外だが、基本的に相手を叱る発想や行動そのものが、チーム内の人間関係と信頼関係をギクシャクさせる。質問者も「軽微なミスをしたとき」にケースを限定しているため、重大インシデントや身に危険が生じるケースは想定しない前提で話を進める。
そもそも、叱る行為は「上から目線」である。
- 親が悪いことをした子どもを叱る
- 先生が言うことを聞かない子を叱る
叱るのは、このように上位の者が下位の者を指導するコミュニケーション形態だ。フラット型、オープン型のコミュニケーションやチームビルディングが求められる時代において、いささか時代錯誤かもしれない。最近では家庭や学校においても、相手を服従させる指示命令型の関係性を疑問視する声が高まっている。
職場は業務を遂行する場である。なおかつ、マネジャーもリーダーもあくまで業務遂行上の役割にすぎない。そこにかつての親子関係のような、上下関係を持ち込むのはいかがなものか? 叱る発想そのものが、職場の上下関係や序列関係の空気をつくってしまいかねない。
職場に上下関係や序列関係をつくってしまうと、メンバーはマネジャーやリーダーに意見や提案、相談をしにくくなる。叱られたり説教されたりするのを敬遠し、マネジャーやリーダーとなるべく関わらずに物事を進めるようになる。あるいは一人で抱えて悩む。
また「偉い人の時間を奪うのは申し訳ない」といった気後れから、ささいなヒヤリ・ハットをマネジャーやリーダーに共有しなくなる。これはコンプライアンスやガバナンスの観点でも不健康である。