全3741文字
PR

 後任のエンジニアがそのシステムを変更したい場合、いちいちオレオレエンジニアに教えを請わなくてはならない。なぜなら、設計思想もノウハウもそのオレオレエンジニアの頭の中にしかないからだ。

 これまたハードルが高い。その手の輩(やから)はたいてい態度が悪い。無駄に相手をマウンティング(力を誇示して威圧)する。開き直る様子はお山の大将のごとし。

 正直、この手の人には話しかけたくない。後任エンジニアは無駄なストレスを抱える。

 オレオレエンジニアは物事を教えるのも不得手だ。こうして知識の属人化が進み、職場のコミュニケーションやカルチャーもどんどん悪くなる。

 「これ、1カ月で書いたんだぜ。どや!」

 オレオレエンジニアが威張り散らす。いやいや、そこはエンジニアとして威張るところではない。引き継げない、運用できない、変更できないシステムを作るエンジニアは山から下りていただくべきである。

顧客とベンダーのどちらも悪い

 「作り逃げ」問題はなかなかなくならない。「作り逃げ」が発生する原因はずばり、当事者が近視眼的だからである。

  • 納期ありき
  • 目先のコスト削減に走る
  • リリースがゴールになりがち

 こんな具合にその後の運用保守フェーズを考慮しない。変更を想定しない。これは作り手(ベンダー)と顧客(ユーザー企業のシステム主管部門や情報システム部門など)の双方に非がある。

 IT職場の組織体制や人事評価制度にも問題がある。

  • 開発と運用保守部隊を分断している(別会社として切り出すことも)
  • 運用保守の視点がないベンダーを開発に起用する
  • リリース時点で、納期とコストを守った人を高く評価する(運用性・保守性は評価対象にしない)

 購買部門や経営管理部門など、コストを評価する部門が近視眼的であるのも問題だ。

 開発時に発生する目先のキャッシュアウトしか評価しない。開発コストを削れば削るほどベンダーは「やっつけ仕事」になる。

  • 何も考えずにコードをコピー&ペースト
  • 何も考えずに設計書を流用
  • ドキュメントが残されない
  • 引き継ぎや運用保守も考慮されない

 そのしわ寄せは全て未来にいく。運用保守ベンダーのエンジニアの工数に跳ね返る。顧客サイドの内部コスト(ベンダーとのコミュニケーションコストなど)も上がる。

 え、運用保守コストも価格交渉して下げればいいって?

 冗談だろう。この手の購買部門や経営管理部門にもの申す。

 「あなたたちの存在のほうがコストです!」

 近視眼的な購買部門や経営管理部門にものを言えない情報システム部門も悪い。

 長い目で見たメリットやコストをきちんと説明する。運用保守など、開発時には見えにくい地道な業務や作業の重要性や妥当性を評価する。そこに投資する。

 そのような行動をしている情報システム部門がどれだけあるだろうか。悩み苦しんでいる運用保守ベンダーや担当者を守れる情報システム部門がどれだけあるだろうか。

 腰抜けな姿勢では、いつまでたっても情報システム部門の社内プレゼンスは上がらない。ろくに予算を付けてもらえない。

 経営やコスト削減部門が図に乗って、どんどんITをコストと見なすようになる。ITがプロフィットを生むデジタルトランスフォーメーション(DX)など夢物語である。