今回はある技術者のぼやきから。「ウチのエンジニアは事実上、『事務職扱い』。どんなに技術を磨いても評価されない。モチベーションは上がらないよ」。

 こう語るのは、大手製造業のIT部門で管理職を務めたA氏。インフラ技術者として入社したものの、結局エンジニアらしい仕事はやらせてもらえなかった。だから評価もされない。

 この会社では技術を伴う仕事は、グループのIT会社やビジネスパートナーに外注するのが昔からの慣習だった。若手エンジニアのモチベーションも下がるばかり。不満が限界に達したA氏はついに同社を辞め、ITベンダーに転職。今はイキイキと仕事をしている。

 IT部門に所属していながら、会社からの扱いは事務職の1人。そのせいでIT部員のモチベーションが下がるケースは少なくない。ちなみにエンジニアなのに事務職扱いとは、大きく2つの意味がある。

・エンジニアなのに、評価制度やキャリア体系が事務職と同様
・エンジニア職種なのに、オフィス環境や勤務体系が事務職と同様

 この2つはエンジニアのやる気を大いに削ぐ。実は筆者も同じような経験をしてモチベーションが下がったことがある。だから、A氏の気持ちは非常によく分かる。

エンジニアに聞いた、やる気を削ぐIT職場

 事務職の人にとっては当たり前の環境や待遇でも、エンジニアのやる気を削いでしまうトラップは社内のあちこちに潜んでいる。現場のエンジニアの声に耳を傾けてみよう。

・固定席しかない
・1人当たりの執務スペースが狭い
・デュアルディスプレーが認められない
・パソコンのスペックが事務職と同じ
・Office系のアプリケーションしか使用が認められない
・勉強会や技術会に行かせてもらえない
・資格の取得をサポートしてもらえない
・男性社員はスーツとネクタイの着用を義務づけられる
・昼休み時間が固定
・勤務時間帯が固定。前日の作業が深夜に及んでも翌朝9時に出社
・書類がやたら多い

 これではエンジニアのモチベーションも生産性も下がって当然だろう。優秀なエンジニアほど、こうした会社には寄りつかなくなる。