今回取り上げる悩みはこちらだ。

技術軸の社内コミュニティーから始めてみてはどうか?
組織のサイロ化は、日本の多くの組織にとってなかなか悩ましい問題である。トップが改革や変革の必要性をどんなに熱く訴えても、「全社一丸となって」「グループの総力を挙げて」などと講話したところで、「総論賛成、各論反対」で従来の縦割り組織そのままに、まるで横連携をしようとしない。あるいは「誰が音頭を取るんだ?」のまま誰も動こうとせず、いつまでたっても横連携が進まない。
ある意味で仕方がない。なぜなら、組織体制も評価制度も事業部単独で成果を出すスタイルに最適化してしまっているからである。
- そもそも横連携するきっかけも時間もない
- 横連携をしても評価されない。自部門の手柄にならない
- どの事業部も課された数字を上げるので精いっぱい。横連携しようものなら「余計なことをするな」と中間管理職にストップをかけられる
- 事業部門のトップ同士がライバル関係。部下が横連携しようとすると、機嫌を損ねる
- セキュリティーが厳しく、他部署のフロアに立ち入りが出こない/物理的にロケーションが離れている/電子的に保存されたドキュメントも部門を越えて閲覧することすらできない
この状況で、横連携を求めるほうが間違っている。従って、強力なトップダウンの意思および指示のもと、いわゆるCCoEのような部門横断の専任組織が編成される。大企業を中心にうまくいき始めた事例も出てきており、その具体例と要諦は書籍『DXを成功に導くクラウド活用推進ガイド CCoEベストプラクティス』(黒須義一ほか共著、日経BP)を参照されたい。
しかしながら、よほど強烈なトップダウンが利く組織でもない限り、CCoEのような部門横断型の専任組織を立ち上げるにも労力が要るであろう。そこで、まずは読者諸氏のそれこそ「半径5メートル以内から」、縦割りの組織カルチャーに風穴を開ける行動について考えてみたい。